
危篤時遺言:最後の想いを形にする
- 危篤時遺言とは人生の最期を迎える時、大切な家族に残せるものの一つに「遺言」があります。その中でも「危篤時遺言」は、文字通り、病気や事故などで死期が迫っている状態、つまり危篤状態にある方が、急いで残す遺言のことを指します。残された家族が、財産や想いをめぐって争うことのないよう、また、自分の希望をしっかりと伝えておくために、この危篤時遺言は大きな役割を果たします。例えば、自宅や土地、預貯金といった財産を誰に託すのか、あるいは、長年連れ添ったペットの世話を誰にお願いするのかといったことを明確に書き残しておくことができます。ただし、危篤時遺言は、通常の遺言とは異なる点があり、特定の条件を満たさない限り、法的な効力を持つことができません。通常の遺言では、証人二人以上の立会いが必要となりますが、危篤時遺言の場合、証人が一人でも、医師による危篤状態の証明があれば、法的に有効な遺言として認められます。これは、一刻を争う状況下で、柔軟に対応できるようにするための特別な措置と言えます。このように、危篤時遺言は、緊急性の高い状況下で、自分の想いを確実に伝えるための大切な手段となります。しかし、その反面、通常の遺言とは異なる点もあるため、専門家によく相談するなど、注意深く進めることが重要です。