遺言

生前準備・終活

危篤時遺言:最後の想いを形にする

- 危篤時遺言とは人生の最期を迎える時、大切な家族に残せるものの一つに「遺言」があります。その中でも「危篤時遺言」は、文字通り、病気や事故などで死期が迫っている状態、つまり危篤状態にある方が、急いで残す遺言のことを指します。残された家族が、財産や想いをめぐって争うことのないよう、また、自分の希望をしっかりと伝えておくために、この危篤時遺言は大きな役割を果たします。例えば、自宅や土地、預貯金といった財産を誰に託すのか、あるいは、長年連れ添ったペットの世話を誰にお願いするのかといったことを明確に書き残しておくことができます。ただし、危篤時遺言は、通常の遺言とは異なる点があり、特定の条件を満たさない限り、法的な効力を持つことができません。通常の遺言では、証人二人以上の立会いが必要となりますが、危篤時遺言の場合、証人が一人でも、医師による危篤状態の証明があれば、法的に有効な遺言として認められます。これは、一刻を争う状況下で、柔軟に対応できるようにするための特別な措置と言えます。このように、危篤時遺言は、緊急性の高い状況下で、自分の想いを確実に伝えるための大切な手段となります。しかし、その反面、通常の遺言とは異なる点もあるため、専門家によく相談するなど、注意深く進めることが重要です。
葬儀

危篤とその後:知っておきたいこと

- 危篤とは「危篤」とは、病気や怪我の状態が極めて深刻化し、今にも命が途絶えそうな状態を指します。もはや回復の見込みがほとんどなく、残された時間がわずかであることを意味します。この言葉が突きつける現実は非常に重く、患者本人だけでなく、その家族や親しい人たちにとっても、深い悲しみと不安に包まれる時を迎えることになります。「危篤」状態と宣告されると、医師は家族に対して今後の見通しや可能な限りの医療行為について説明します。延命治療の是非など、患者本人の意思を確認できない場合が多いため、家族は非常に難しい判断を迫られることになります。大切な家族との別れが近づいていることを受け入れ、精神的な支えが必要となる場合もあります。病院によっては、僧侶や牧師による宗教的なケアを提供したり、ソーシャルワーカーが相談に応じる体制を整えている場合もあります。「危篤」は、人生の最終章における一つの段階であり、残された時間をどう過ごすかは、患者本人や家族にとって非常に重要な意味を持ちます。穏やかな最期を迎えることができるよう、医療従事者や周囲の人々の理解と協力が不可欠です。
生前準備・終活

死後事務委任契約のススメ

- 死後事務委任契約とは近年、自分の死後、残された家族に負担をかけたくないという思いから、生前に葬儀や納骨などの準備、さらには財産の処分や各種手続きなどを自身に代わって行うよう、信頼できる個人や専門機関に依頼する「死後事務委任契約」を検討する方が増えています。これは、文字通り、自分が亡くなった後の事務処理を誰かに委託する契約のことです。従来は家族や親族が担っていたこれらの事務手続きですが、少子高齢化や核家族化が進み、必ずしも親族が近くにいない、あるいはいても高齢で負担が大きいといったケースが増えています。また、独身者や事実婚など、従来の家族形態にとらわれない生き方を選択する人が増えていることも、死後事務委任契約への関心を高める要因となっています。死後事務委任契約では、葬儀や埋葬に関することだけでなく、残された家財の処分、医療費や公共料金などの支払い、さらには相続人への連絡や遺産整理、デジタル遺品の処理など、多岐にわたる事務手続きを依頼することができます。依頼する範囲は、自身の希望や状況に応じて自由に決めることができます。この契約を結ぶことで、自分の死後、残された家族や親族が煩雑な手続きに追われることなく、安心して故人との別れに向き合えるようになるというメリットがあります。また、自分の希望通りの葬儀や納骨を実現できる、財産の処分や相続手続きをスムーズに進められるといった点も大きな魅力です。ただし、死後事務委任契約は、あくまでも民間の契約であるため、委任した内容によっては、法律や慣習に反する場合もあります。そのため、契約を結ぶ前に、弁護士や専門家などに相談し、内容をよく確認することが重要です。
相続

遺言で想いを形に:指定分割の基礎知識

- 指定分割とは指定分割とは、故人が生前に自身の財産をどのように分配するかを明確に記した遺言書に基づき、その意志を尊重して遺産分割を行う方法です。一般的に遺産分割は、民法で定められた法定相続分に従って行われます。これは、配偶者や子供、父母など、故人と血縁関係のある親族が、それぞれの関係性に応じた割合で遺産を相続する制度です。しかし、故人の生前の関係性や思い入れによっては、この法定相続分に従った分割が必ずしも故人の望みに沿うとは限りません。指定分割は、故人が残した遺言書の内容を最優先するため、法定相続分とは異なる分割方法で遺産を分配することができます。例えば、特定の家族に多くの財産を相続させたい場合や、血縁関係のない親しい友人に財産を残したい場合など、故人の希望に沿った遺産分配が実現できます。このように、指定分割は故人の意思を明確に反映できるため、相続人同士の無用な争いを未然に防ぐ効果も期待できます。遺産分割におけるトラブルは、感情的な対立を生み出しがちですが、故人の明確な意志が示されることで、相続人たちは冷静に遺産と向き合い、円満な解決へと導かれる可能性が高まります。
相続

遺産相続の基礎知識

- 相続について人が亡くなると、その方が生前に築き上げてきた財産は、残された家族や親族に引き継がれます。これが「相続」です。相続の対象となる財産は、現金や預貯金といった金融資産はもちろんのこと、土地や建物などの不動産、株や債券などの有価証券、車や貴金属なども含まれます。 つまり、プラスの価値を持つものすべてが相続財産となり得るのです。しかし、相続財産にはプラスのものばかりではありません。借金のように、マイナスの価値を持つものも含まれるため注意が必要です。これらの財産は、故人の意思が反映された遺言書が存在する場合はその内容に従い、遺言書がない場合は民法で定められた相続のルールに従って、配偶者や子どもなどの相続人に分配されます。相続は、人生における大きな転換期であり、残された家族にとっては、精神的な負担も伴う複雑な手続きです。そのため、相続について事前にある程度の知識を身につけておくことが重要です。
相続

受け継ぐということ-祭祀財産のゆくえ-

- 目に見えない財産、祭祀財産とは「祭祀財産」という言葉をご存知でしょうか? これは、家系図、ご位牌、仏壇仏具、お墓など、先祖代々受け継がれてきたものを指します。家や車といった財産とは異なり、祭祀財産は目に見える形はあっても、それを売却して利益を得ることは通常想定されていません。むしろ、維持・管理していくためには、費用や労力がかかります。お墓であれば、管理費や清掃費用などが発生しますし、仏壇仏具も定期的な修理や買い替えが必要になることがあります。また、お盆やお彼岸、命日には、お供え物やお花を準備するなど、伝統的な儀式を行うための費用も必要となります。このような維持・管理にかかる費用や労力、そして受け継ぐこと自体を負担に感じる人が、現代では少なくありません。 核家族化や少子化が進み、従来の伝統的な家族形態が変化していることや、生活様式の変化によって、祭祀に対する意識も多様化していることが背景として考えられます。しかし、祭祀財産は、単なる「もの」ではありません。そこには、ご先祖様を敬い、その命と歴史を語り継いでいくという、大切な意味が込められています。 受け継ぐかどうかは、それぞれの家庭の考え方や状況によって異なりますが、まずは祭祀財産について、その意味や価値について改めて考えてみることも大切です。
相続

受け継がれる想い:墓石と祭祀財産のゆくえ

お墓参りに行くと、立派な墓石が目に留まりますよね。しかし、故人を偲び、敬意を表すものは墓石だけではありません。位牌や仏壇、そしてお墓そのものも、ご先祖様を供養するための大切なものです。実は、これらは『祭祀財産』と呼ばれ、墓石と深い関わりを持っています。祭祀財産とは、家系図や位牌、仏壇、墓地など、祖先を祭るためのもの全てを指します。日々のお供えに必要な仏具なども含まれますが、仏間といった建物は含まれません。では、この祭祀財産は、一体誰がどのように管理していくのでしょうか?祭祀財産は、通常、その家の慣習に従って、長男や次男など、特定の相続人が承継します。しかし近年では、核家族化や少子化が進み、従来の慣習が当てはまらないケースも増えています。このような場合、遺産分割協議の中で、誰が祭祀財産を承継するか、あるいはどのように管理していくかを話し合うことが重要になります。祭祀財産は、単なる物品ではなく、ご先祖様と私たちをつなぐ大切なものです。墓石を建てる際にも、祭祀財産の承継についてしっかりと考えておくことが、後々のトラブルを避ける上で重要と言えるでしょう。
生前準備・終活

緊急時の遺言とは?

- 一般危急時遺言の概要人は誰しも、いつどのような状況に陥るかは予測できません。病気や事故など、突然の事態に見舞われ、大切な人に思いを伝えられないまま、この世を去らなければならない状況も起こりえます。 遺言は、そのような不測の事態に備え、自身の財産や大切な人への想いを託すための重要な手段です。通常、遺言を作成するには、公証人の面前で内容を読み上げ、証人2人の立会いのもと署名押印をするなど、厳格な手続きが定められています。しかし、一刻を争うような状況下では、これらの手続きを踏むことは現実的に困難です。そこで、急病や重傷、災害などにより、差し迫った死期が迫っている場合に限り認められるのが、「一般危急時遺言」です。 これは、従来の方式に比べて簡易的な方法で遺言を残せる制度です。一般危急時遺言は、証人3人以上の立会いのもと、遺言者が口頭で遺言内容を伝え、それを筆記してもらうことで成立します。 遺言者は、自ら署名することができない場合は、その理由を付記した上で、証人の1人が署名します。ただし、一般危急時遺言は、あくまで緊急時の措置として認められた制度です。 遺言者が意識を回復し、通常の方式で遺言を作成できる状態になった場合、または、危急時が去ってから3か月以内に家庭裁判所へ検認の申し立てを行わなかった場合、その効力を失います。一般危急時遺言は、緊急時に自身の意思を残すための最後の手段と言えるでしょう。
生前準備・終活

公正証書遺言:安心と信頼の遺言作成

- 公正証書遺言とは「公正証書遺言」とは、法律の専門家である公証人が、法律に基づき厳格な手続きを踏んで作成する遺言状のことです。 近年、従来の遺言書に比べて、法的効力と証拠能力の高さから注目を集めています。公正証書遺言の魅力は、何と言っても紛争の予防効果が高い点にあります。作成段階では、公証人が遺言者の意思を注意深く確認し、法律に沿って内容をまとめます。そのため、内容に誤りや不明瞭な点が入り込む余地が少なく、相続人間で争いが起きにくいというメリットがあります。また、原本が公証役場で大切に保管されることも大きな利点です。従来の自筆証書遺言では、紛失や改ざんの恐れが常に付きまとっていましたが、公正証書遺言であればそのような心配は不要です。さらに、公正証書遺言は、家庭裁判所で行う検認手続きが不要である点も見逃せません。相続発生後、速やかに手続きを進めることができ、相続人の方の負担を軽減できます。このように、公正証書遺言は、遺言者の想いを確実に実現し、円満な相続を実現するための有効な手段と言えるでしょう。
相続

公正証書遺言:安心と確実性を備えた遺言の形

- 遺言の種類と公正証書遺言大切な家族を亡くされた後の手続きの中で、故人の残した遺言の執行は、残された家族にとって重要な意味を持ちます。故人の想いを尊重し、相続争いを避けるためにも、遺言について理解しておくことは大切です。遺言にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると、通常の作成方法で残す「普通方式遺言」と、特別な状況下で作成される「特別方式遺言」の二つに分類されます。「普通方式遺言」には、自身で作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」の二つがあります。自筆証書遺言は、費用をかけずに作成できるというメリットがある一方で、形式の不備や紛失のリスクがあります。一方、公正証書遺言は、公証人が法律に基づいて作成し、公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がなく、より安全で確実な方法と言えるでしょう。公正証書遺言は、その信頼性の高さから、近年、多くの人に選ばれています。特に、財産が多い場合や相続人が複数いる場合などは、公正証書遺言を作成しておくことで、後々のトラブルを避けることができるため、おすすめです。遺言は、人生の締めくくり方を決める大切な選択です。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を検討しましょう。
生前準備・終活

知られざる公証役場の役割: 遺言書作成から会社設立まで

- 公証役場とは公証役場と聞いて、具体的な場所や役割をイメージできる方は少ないかもしれません。実は、公証役場は私たちの暮らしの中の様々な場面で、重要な役割を担う、法務省が管轄する役所なのです。公証役場は、一般的にオフィスビルなどの中にあり、法律のスペシャリストである公証人が常駐しています。私たちは日常生活で、法的効力を持つ書類が必要となる場面に遭遇することがあります。例えば、土地や建物の売買、遺産相続、会社の設立などです。このような場面で、公証役場は、私たちからの相談や依頼に応じて、公正で信頼のおける書類作成をサポートしてくれる頼もしい存在なのです。公証役場の主な業務は、大きく分けて三つあります。一つ目は、公正証書の作成です。公正証書とは、公証人が法律に基づいて作成する公文書のことで、高い証明力と法的効力を持ちます。金銭の貸し借りや不動産の売買契約、遺言書など、後々のトラブルを避けるために重要な契約を結ぶ際に利用されます。二つ目は、会社の定款への認証です。会社を設立する際には、会社の目的や組織、運営方法などを定めた定款を作成する必要がありますが、公証役場は、この定款が法律に適合しているかを厳密にチェックし、認証を与えます。三つ目は、確定日付の付与です。これは、文書が特定の日にちに確かに存在していたことを証明するもので、文書の内容に関するトラブルを未然に防ぐ効果があります。このように、公証役場は、私たちの権利を守り、安心して暮らせる社会を実現するために、重要な役割を担っていると言えるでしょう。
手続き

公証人とその役割:法的トラブル予防のエキスパート

- 公証人とは?公証人とは、国の資格を持つ法律の専門家で、私たちが日常生活で利用する様々な契約書や書類について、法律に基づいた適切な内容であるかをチェックし、問題がないことを証明してくれる役割を担っています。 例えば、財産を誰かに譲りたい時や、自らの死後に備えて財産の分配方法を決めておく「遺言書」を作成する際などに、公証人が作成に関与することで、後々、その内容について争いが起きにくくなるという大きなメリットがあります。公証人は、書類の内容を確認し、間違いや不備がないことを証明するために「公印」と呼ばれる特別な印章を押します。この公印があることで、その書類は信頼できる正式な書類として認められ、裁判などで証拠として提出する際にも、有利に働くことがあります。公証人は、誰でも自由に就任できるわけではなく、法律の専門家として豊富な知識と経験を積み重ねた上で、国の厳しい審査を通過した人のみが任命されます。そして、全国各地にある公証役場という国の機関に所属し、国民からの依頼を受けて業務を行います。法的知識があまりない人でも、公証人に相談すれば、自分の状況に合わせて、必要な手続きや書類について、分かりやすく丁寧に教えてもらうことができます。そのため、公証人は、国民にとって身近で頼りになる法律の相談窓口としての役割も担っていると言えます。
相続

遺言の内容に納得いかない?遺留分減殺請求について

人が亡くなると、残された家族はその人の財産を受け継ぎます。この財産の分け方を記したものが遺言書です。故人の意思が記された大切な書類ですが、時にはその内容が、残された家族にとって納得のいかないものである場合があります。例えば、故人が全財産を特定の人物、例えば愛人や友人に残すと記していた場合、残された配偶者や子供は生活に困窮してしまうかもしれません。このような場合、残された家族を守るために法律によって定められているのが『遺留分』という権利です。遺留分とは、配偶者や子供など一定の相続人が、最低限相続できる財産の割合のことを指します。たとえ遺言書に反対の内容が書かれていたとしても、この割合は法律で守られています。もし遺言の内容が遺留分を侵害している場合、相続人は『遺留分減殺請求』を行うことができます。これは、侵害された遺留分の返還を求めることができる制度です。遺言書の作成は、残された家族への最後のメッセージとなる大切な行為です。しかし、一方で、家族間で争いが起こる可能性も孕んでいます。遺言を作成する際は、遺留分についてもしっかりと考慮し、専門家に相談するなどして、後のトラブルを防ぐことが重要です。
相続

遺留分とは?~最低限保証された相続の権利~

- 遺留分とは何か人が亡くなると、その人の財産は相続人へと引き継がれます。この時、故人は遺言を残すことで、自分の財産を誰にどのように分配するかを決めることができます。しかし、故人の意思であっても、残された家族の生活を守るため、一定の相続人には最低限相続できる財産の割合が法律で保障されています。これが「遺留分」です。例えば、故人が遺言で財産の全てを特定の人に相続させるよう指定していたとしても、遺留分の権利を持つ相続人がいれば、その割合の財産を請求することができます。これは、遺言の内容が故人の真意であったとしても、残された家族が生活に困窮することがないようにという配慮から設けられた制度なのです。遺留分は、民法で定められた一定の相続人のみが持つ権利です。具体的には、配偶者、子供、父母が該当し、それぞれの立場によってその割合は異なります。もし、遺言の内容が遺留分を侵害している場合は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、不足分の財産を請求することができます。遺言を作成する際には、遺留分の存在を理解し、相続人同士が後のトラブルに巻き込まれないよう、十分な話し合いを行うことが重要と言えるでしょう。
生前準備・終活

想いを未来へ繋ぐ「納骨の遺言」

- 「納骨の遺言」とは「納骨の遺言」とは、故人が生前に残した、自身の遺骨の取り扱いに関する希望のことです。これは法的な拘束力を持つわけではありませんが、故人の最期の意思表示として、遺族は最大限尊重するべきものです。従来の遺言書のように、財産の分配や身辺整理に関する事項を記すのではなく、「納骨の遺言」は、主に遺骨をどのように扱ってほしいか、そして家族や友人に向けてどのような言葉を伝えておきたいのかを記します。例えば、遺骨を散骨してほしい、特定の場所に埋葬してほしい、あるいは自分の遺骨の一部を形見として残してほしいといった具体的な希望を伝えることができます。また、葬儀の形式や規模、参列者へのメッセージ、戒名や墓碑銘に関する希望なども記すことができます。「納骨の遺言」を残すことで、遺族は故人の想いを汲み取り、後悔のない葬儀やお墓選びをすることができます。また、故人にとっても、自身の死後について具体的に考えることで、残された家族への想いを整理し、心穏やかに最期を迎えることができるという側面もあるでしょう。近年では、従来の形式にとらわれない多様な葬送の形が求められるようになり、「納骨の遺言」の重要性はますます高まっています。
相続

知っておきたい「被相続人」の意味とは?

- 相続における重要な立場人が亡くなると、この世に残された家や土地、預貯金、車、貴金属といった様々な財産はどうなるのでしょうか。これらの財産はまとめて「遺産」と呼ばれ、誰かが引き継がなければなりません。そして、この遺産を引き継ぐ行為を「相続」と言います。相続において中心となるのが「被相続人」です。被相続人とは、亡くなってしまったため、自分の意志で財産をどうにかできなくなった、いわば「元の持ち主」のことを指します。生前は自由に使える財産も、亡くなってしまえば被相続人のものではなくなってしまいます。しかし、被相続人の意思は、遺言書という形で残すことができます。遺言書には、自分の財産を誰にどのように分けてほしいか、葬儀はどうしてほしいかなど、自分の希望を書き記すことができます。相続は、被相続人の残した財産や意思に基づいて行われます。そのため、被相続人は相続において非常に重要な立場にあると言えるでしょう。被相続人が生前にどのような準備をしていたかによって、残された家族の負担や相続の手続きは大きく変わる可能性があります。
生前準備・終活

秘密の遺言:秘密証書遺言とは?

人生の最期を迎えるにあたり、自身の財産をどのように扱うか、思いをどのように残すかは重要な課題です。その解決策の一つとして遺言状の作成がありますが、遺言状にはいくつかの形式が存在します。その中でも、秘密証書遺言は、誰にも知られることなく遺言の内容を決定できるという特徴があります。秘密証書遺言は、遺言を残したい人が、その内容を自身で紙に書き記し、署名と捺印を行うことで成立します。作成した遺言書は封筒に入れ、さらに封をした上で、公証役場へ持参します。公証役場では、遺言者が自分の遺言書であることを証言し、公証人と証人の前で封筒に署名と捺印をします。このように、遺言の内容は公証役場にも一切開示されないため、プライバシーが守られるという大きなメリットがあります。自分の死後、特定の人に財産を託したい、あるいは自身の意思を伝えたいと考える場合、秘密証書遺言は有効な手段となりえます。例えば、内縁関係にあるパートナーや、血縁関係のない親しい友人に財産を残したい場合、あるいは、相続人とは別に、特定の品物を大切な人に譲りたい場合などに適しています。ただし、秘密証書遺言は、証人や公証人が立ち会う必要があるなど、手続きが複雑な面もあります。また、遺言書が見つからなかったり、形式的な不備があった場合は、遺言が無効になってしまう可能性もあります。そのため、秘密証書遺言の作成を検討する際は、事前に専門家に相談するなど、慎重に進めることが重要です。
相続

知っておきたい「遺言執行者」の役割

- 遺言執行者とは人が亡くなった後、その方の意思を表す遺言書が残されていることがあります。この遺言書に書かれた内容を実現するために、様々な手続きが必要となりますが、これらの手続きをスムーズに進めるために重要な役割を担うのが「遺言執行者」です。遺言執行者は、故人の最期の意思を尊重し、それを形にするという重要な役割を担います。具体的には、まず故人の遺産を調査し、相続人が誰であるかを確定する作業を行います。そして、相続人に対して遺言の内容を伝え、遺産分割協議が円滑に進むようサポートします。 さらに、遺言の内容に基づき、預貯金の解約や不動産の名義変更など、様々な手続きを行います。これらの手続きは、場合によっては複雑で専門的な知識を要することもありますが、遺言執行者は、故人の意思に沿って、適切かつ迅速に進める責任があります。遺言執行者は、故人と親しい家族や友人が務めることもあれば、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることもあります。誰が就任するかは、故人が遺言書の中で指定します。遺言執行者という役割を理解し、故人の最期の意思を尊重できるよう、しっかりと準備しておくことが大切です。
生前準備・終活

自分らしい最期のために。知っておきたい遺言の基礎知識

- 遺言とは何か?「遺言」とは、読んで字のごとく、この世を去る前に言い残す言葉のことです。法的には、人が亡くなる前に、自分の財産をどのように処分するか、自分の死後どのように扱ってほしいかなどを、最終的な意思として書き残すことを指します。これは単なる希望ではなく、法的な効力を持つ重要な書類となります。遺言を残す大きなメリットは、ご自身の大切な財産を、ご自身の意志に基づいて、特定の人物や団体などに託せることです。財産には、不動産や預貯金、株などの金融資産だけでなく、車や宝石、美術品なども含まれます。もし遺言がない場合、民法で定められた相続分に従って、残された家族に分けられることになります。しかし、家族関係や個々の事情によっては、この法定相続では故人の想いが十分に反映されないケースも少なくありません。遺言があれば、ご自身の想いに沿った形で財産を分配することができ、相続争いを防ぐ効果も期待できます。また、遺言では、葬儀やお墓に関する希望を記しておくことも可能です。例えば、葬儀の形式や規模、参列者への連絡方法、お墓の場所や管理を誰に託すかなどを具体的に指示することができます。ご自身の希望を明確に伝えることで、残された家族の負担を軽減し、故人にとっても心安らかな最期を迎えることができるでしょう。
生前準備・終活

残された人のために。エンディング活動のススメ

- エンディング活動とは人生は誰しもいつかは終わりを迎えます。その最後の時を迎えるにあたり、残された家族に負担をかけずに、自分の望む形で最後を迎えたいと願う人は多いのではないでしょうか。エンディング活動とは、まさにそのような「人生の終焉」に向けて、自分自身で準備を行う活動のことを指します。従来は「終活」という言葉が一般的でしたが、近年では「エンディング活動」という言葉も広く使われるようになってきました。どちらも、残された家族への負担を軽減するために、葬儀や埋葬の方法、遺産相続などに関する自身の希望を明確化し、記録しておくという点で共通しています。エンディング活動には、具体的に以下のような内容が含まれます。* -葬儀やお墓に関すること- 葬儀の形式(宗教形式か自由葬かなど)、参列者の範囲、希望する埋葬方法や墓地の場所などを決めておきます。* -医療や介護に関すること- 延命治療の希望の有無や、介護を受ける場合の施設や方法など、自身の意思を明確にしておきます。* -財産に関すること- 遺産の分配方法や、遺言状の作成など、財産に関する希望を整理しておきます。* -身の回りの整理整頓やデジタル遺品に関すること- 遺品整理をスムーズに行うために、不要な物の処分や、デジタルデータの整理などを行います。エンディング活動は、決して「死」を意識して不安になるためのものではありません。むしろ、自分の人生を振り返り、残された大切な人たちへの想いを形にするための大切な機会と言えるでしょう。早いうちからエンディング活動に取り組むことで、心穏やかに過ごすことができ、残された家族にも安心感を与えることができます。
生前準備・終活

エンディングノートと向き合う

- エンディングノートとは人生は、いつ、どのような形で幕を閉じるか分かりません。近年では、病気や事故など、予期せぬ形で人生の終わりを迎える可能性にも目を向け、早いうちから準備をしておく人が増えています。その準備の一つとして注目されているのが「エンディングノート」です。エンディングノートとは、人生の最終段階における医療や介護、葬儀に関する希望、そして、愛する家族や大切な人への感謝の気持ちなどを記しておくノートのことです。従来は、高齢者が残すものというイメージが強かったエンディングノートですが、近年では、年齢に関係なく、自分の人生を振り返り、未来への備えとして、若い世代の間でも広がりを見せています。エンディングノートには、法的拘束力はなく、あくまでも自分の想いや希望を伝えるためのものです。しかし、残された家族にとっては、故人の意思を汲み取り、その後の手続きや生活を進める上での大きな支えとなります。エンディングノートには、例えば、延命治療に関する希望や、葬儀の形式、埋葬方法、そして、家族への感謝のメッセージ、財産の分配方法、インターネット上のアカウント情報などを記載することができます。また、自分史や旅行の思い出、趣味についてなど、自由に書き記すこともできます。エンディングノートを書くことは、自分自身の人生と向き合い、残された人への愛情を形にする、大切な機会と言えるでしょう。
生前準備・終活

終活の伴走者:終活ライフケアプランナーとは?

近年、「終活」という言葉が、お茶の間の話題や雑誌の記事などで目にする機会が増えましたね。人生100年時代と言われる現代において、「終活」はもはや高齢者のためだけの言葉ではありません。むしろ、年齢に関係なく、自分の人生をどのように締めくくりたいか、悔いなく生ききったと言えるようにするために、何をすべきかを考える、大切な機会として捉えられています。残された家族に負担をかけたくない、自分らしい最期を迎えたい、感謝の気持ちを伝えたい… 終活を始める理由は人それぞれですが、いざ始めようと思っても、何から手をつければ良いのか迷ってしまう方が多いのも事実です。エンディングノートに書き込むべき内容、葬儀やお墓の形式、相続や財産のことなど、考えるべきことは多岐に渡ります。しかし、終活は決して難しいことばかりではありません。まずは自分の想いを整理し、家族や親しい人と話し合いながら、ゆっくりと準備を進めていきましょう。
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