
お墓に佇む自然のぬくもり:自然石
お墓参りに訪れると、墓石の周りに、それ以外の様々な石が使われていることに気が付くでしょう。花立や香炉、外柵など、それぞれが故人を偲ぶ空間を形作る大切な要素です。その中でも、ひときわ目を引く存在感を放つのが自然石です。自然石とは、文字通り、自然の力で生まれ育まれた、そのままの姿をした石のことです。長い年月をかけて雨や風、太陽の光を浴びてきた自然石は、人工物にはない、独特の風格と温かみを備えています。人の手で研磨された石にはない、自然の造形美を感じることができるでしょう。その荒々しい形や、滑らかで優しい曲線は、見る人の心を和ませ、どこか懐かしさを感じさせる不思議な魅力があります。お墓に自然石が使われるようになったのは、決して最近のことではありません。古くから、日本人は自然の中に神聖なものを感じ、大きな岩や木を信仰の対象としてきました。自然石をお墓に用いるのも、そうした自然崇拝の考え方が根底にあると言えるでしょう。墓石の代わりに、あるいは墓石と組み合わせて使われる自然石は、墓所に個性と風格を与え、訪れる人の心を癒してくれるでしょう。自然石は、時を経ても変わることのない、永遠の命を象徴しているようにも感じられます。