臨終勤行

- 旅立ちの儀式、枕経とは人は誰しもいつかは人生の幕を閉じ、旅立ちの時を迎えます。その最後の瞬間を見送る際には、様々な儀式が行われますが、中でも「枕経」は、故人が安らかに旅立てるよう、そして残された者がその死を受け入れ、新たな一歩を踏み出すための大切な儀式です。「枕経」とは、人が息を引き取った後、故人の枕元で行われる読経のことを指します。仏教の教えでは、人が亡くなると、この世からあの世への旅が始まると考えられてきました。その旅立ちを安らかに行えるよう、僧侶が読経によって故人を導き、遺族と共に故人の冥福を祈るのが枕経の大切な役割です。枕元の静寂の中、読経の声が響き渡る時、そこには厳粛な空気が流れ、故人の生前の姿が偲ばれます。そして、その声は、残された家族や親族の心を穏やかに包み込み、深い悲しみから立ち直る力を与えてくれるかのようです。枕経は、ただ単に故人の死を悼むだけでなく、残された者がその死を受け入れ、前向きに生きていくための一つの区切りとなる儀式と言えるでしょう。