神葬祭

葬儀

葬儀と注連縄:その役割と意味

神社や寺院を訪れた際、必ず目にすることになる注連縄。それは、神聖な場所や物示し、俗世間から区別するための結界として、古くから大切にされてきました。注連縄は、一般的に稲わらで作られています。稲穂は、古来より日本人の生活を支える貴重な食糧であり、豊穣の象徴とされてきました。そのため、稲わらで作られた注連縄には、神聖な力や魂が宿ると信じられているのです。その縄の形状にも意味が込められています。しめ縄は、一般的に左綯いに作られています。これは、神様の視点から見て右巻きとなり、神様が降りてくる際に邪魔にならないようにと考えられているからです。また、注連縄には、紙垂と呼ばれる、独特のギザギザとした紙が挟まれています。紙垂は、雷光や稲妻を表すとされ、神様の力を象徴しています。注連縄は、神社の鳥居や御神木だけでなく、地鎮祭や結婚式など、様々な場面で見られます。それは、私たちの生活の様々な場面に、神聖な力が宿り、守られていることを示していると言えるでしょう。
葬儀

葬儀における後祓いの儀:穢れを祓い清める儀式

神道において、死は「穢れ(けがれ)」と捉えられます。この「穢れ」は、私たちが日常で使う「汚い」という意味とは異なり、生命エネルギーである「気」が弱まってしまう状態を指します。人が亡くなると、その周囲には「気」の衰えが生じると考えられており、これが「穢れ」として認識されるのです。神道には、この死による「穢れ」を避けるための儀式が数多く存在します。例えば、家族が亡くなった場合、神棚を白い紙で覆って閉じます。これは単に神棚を隠すためではなく、神聖な場所である神棚を現世から隔離することで、「穢れ」から守るという意味合いがあります。また、神棚への毎日の供え物やお祈りは、五十日祭の忌明けまで控えます。これは、神様への礼儀という側面もありますが、「穢れ」に触れることを避けるという意味合いが強いのです。このように、神道においては死と「穢れ」は密接に結びついており、様々な儀式を通して「穢れ」の影響を最小限に抑えようとする考え方が根底にあります。
葬儀

神葬祭:日本の伝統的な葬儀の形式

- 神葬祭とは神葬祭は、日本の古来からの信仰である神道の儀式にのっとり、亡くなった方を神様の世界へと送る厳かな儀式です。仏教が伝来する以前は、神葬祭が日本の葬儀の一般的な形式でした。その後、仏教の広まりとともに仏式の葬儀が主流となりましたが、現在でも神葬祭は日本の伝統的な葬儀の一つとして、大切に受け継がれています。神葬祭では、亡くなった方は、祖霊(みたま)となり、神様の世界へと還ると考えられています。そして、祖霊はやがて子孫を見守り、幸福へと導く守護神となるとされています。神葬祭は、悲しみの中にも、亡くなった方が安らかに神様の世界へと旅立ち、子孫を守護してくれる存在となることを祈る、厳粛で温かい儀式なのです。神葬祭は、一般的に、神社や自宅に神棚を設けて行われます。祭壇には、故人の御霊(みたま)を祀るための神籬(ひもろぎ)と呼ばれる榊の枝や、故人の好物などが供えられます。儀式は、神職と呼ばれる神道の聖職者によって執り行われ、祝詞奏上、お祓い、玉串奉奠などの神事が行われます。参列者は、白いハンカチで口元を覆い、深く頭を下げて故人との別れを惜しみ、冥福を祈ります。近年では、宗教に対する考え方も多様化しており、仏式や神式にとらわれない自由な形式の葬儀も増えています。しかし、神葬祭は、日本の伝統的な文化や精神性を色濃く残す貴重な儀式として、今後も継承していくべき大切な儀式と言えるでしょう。
マナー

葬儀のマナー:忍び手の作法

神道の教えに基づいた神葬祭は、仏式の葬儀とは異なるしきたりや作法が数多く存在します。参列する際には、その違いを理解し、故人を偲ぶ気持ちを持って儀式に臨むことが大切です。神葬祭で参列者を戸惑わせることの一つに、「忍び手」と呼ばれる作法があります。これは、一般的に柏手を打つ際に両手を合わせる直前で止め、音を立てずに祈りを捧げるという独特のものです。神道では、静寂を保つことこそが、神聖な儀式に臨む厳粛な気持ちを表現する方法だと考えられています。音を立てずに祈りを捧げることで、神様への敬意を表し、故人の魂が安らかに天に昇っていくことを願うのです。忍び手の作法は、神葬祭の厳かな雰囲気と相まって、参列者に新鮮な印象を与えることでしょう。参列する機会があれば、心を込めて静かに手を合わせ、故人を偲んでください。
葬儀

帰家祭:葬儀の終わりと新たな安息

- 帰家祭とは帰家祭は、神道において火葬後の遺骨を自宅に迎える際に執り行う大切な儀式です。火葬によってお骨となった故人の御霊を、再び住み慣れた我が家へとお連れし、安らかな永眠を祈ります。この儀式は、一般的に葬儀・告別式の後に執り行われます。火葬場から骨壺を自宅へ持ち帰り、仏式でいう後飾り祭壇にあたる仮霊舎に安置します。そして、神職が読経や祝詞を奏上し、お祓いを行い、故人の御霊を慰めます。帰家祭は、故人の魂が家族のもとに帰り、再び共に過ごす時間を象徴する儀式とも言えます。そして、遺族にとっては、葬儀が終わり故人が truly に旅立ったことを実感し、新たな日常へ踏み出すための大切な区切りとなります。帰家祭は、地域や家の習慣によって異なる場合もあるため、事前に神職や葬儀社に相談することをおすすめします。
PR
タイトルとURLをコピーしました