
盆棚:ご先祖様を迎える大切な場所
お盆の時期になると、どの家でも先祖の霊を迎えて供養する準備に追われます。その中心となるのが「盆棚」と呼ばれる特別な場所です。盆棚は、その名の通り棚や机のような形をしています。お盆の期間中、ご先祖様の霊はこの盆棚に降り立ち、家族と時を共にすると言われています。そのため、盆棚には位牌を一番奥に置き、その手前に故人が生前好んでいた食べ物や飲み物、季節の果物などをお供えします。また、線香を焚いたり、灯籠を灯したりすることで、ご先祖様の霊が迷わずに帰って来られるようにと願いを込めます。この盆棚は、地域によっては「精霊棚」と呼ばれることもあります。その形や飾り付けは、地域や家庭によって実に様々です。例えば、きゅうりやナスで作った馬や牛を飾ったり、地域特有の伝統的な装飾を施したりと、それぞれの風習が色濃く反映されています。近年では、住宅事情の変化から、伝統的な形式にとらわれず、簡素化された盆棚を設ける家庭も増えています。しかし、その根底にあるご先祖様を敬い、感謝の気持ちを表すという心は、今も昔も変わることはありません。