
お香の深い世界:刻み香について
お焼香は、仏教の儀式の中で、香を焚いてその香りの煙によって場を清め、仏様を供養する大切な行為です。お焼香に使うお香は、一般的に「刻み香」と呼ばれています。これは、沈香や伽羅、白檀など、数種類から十数種類の貴重な香木を細かく刻んで混ぜ合わせたものです。それぞれの香木が持つ個性的な香りが複雑に絡み合い、奥深く上品な香りが生まれます。お焼香の際には、まず右手の親指、人差し指、中指の三本でひとつまみの刻み香を取り、額のあたりまで静かに持ち上げてから香炉に落とします。これは、仏様への敬意を表す所作です。香炉から立ち上る煙は、仏様の慈悲や智慧を表すとされ、私たちを清めてくれると信じられています。また、お焼香の香りには、心を落ち着かせ、故人への想いを深める力もあると言われています。