
墓石の墓誌:故人を偲ぶ記録
- 墓誌とはお墓にひっそりと佇む石碑、墓誌。そこには、故人の生きた証が静かに刻まれています。単なる石碑と片付けてしまうにはあまりにも尊い、故人とこの世を繋ぐ大切な役割を担っているのです。墓誌には、一般的に故人の氏名、生年月日、そして亡くなられた日が記されます。これは単なる記録ではなく、故人が確かにこの世に存在し、そして私たちと共に時を過ごしたという紛れもない事実を後世に伝えるための大切な役割を担っています。さらに、墓誌には戒名や俗名、没年齢などが刻まれることもあります。戒名は、仏教において故人が生前に積んだ徳や功績を称え、あの世での安らかな暮らしを祈る意味が込められています。また、故人を偲ぶ言葉や、生前の姿を象徴するような言葉が添えられることもあり、墓誌は故人の人柄や生き様を雄弁に物語る、いわば「石の履歴書」とも言えるでしょう。お墓を訪れる人々は、墓誌に刻まれた文字を目にし、故人のことを思い起こします。楽しかった思い出、共に過ごした日々、そして別れの時…。墓誌は、故人と生者を静かに繋ぎ、語りかけてくれる大切な存在なのです。