
宇宙葬:故人との新しい別れのかたち
- 宇宙葬とは近年、従来の埋葬や散骨とは異なる新しい葬送の形として注目を集めているのが「宇宙葬」です。宇宙葬とは、故人の遺骨の一部または全部を宇宙空間へ送る葬送方法を指します。宇宙葬には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、ロケットに遺骨を載せて打ち上げ、地球の周回軌道に乗せる方法です。もう一つは、気球などを使って成層圏まで遺骨を運び、そこから散骨する方法です。地球周回軌道に乗せる方法の場合、遺骨を収めたカプセルは、数ヶ月から数年かけて地球を周回し続けます。やがて大気圏に突入し、流れ星のように燃え尽きます。一方、成層圏からの散骨では、遺骨は地球の重力に引かれてゆっくりと降下し、最終的には海や山に散らばります。宇宙葬の歴史はまだ浅く、1997年に初めて実施されました。以来、宇宙開発の進歩や人々の死生観の多様化とともに、新たな選択肢として徐々に広がりを見せています。宇宙葬を選ぶ理由としては、「故人の生前の夢を叶えたい」「宇宙という壮大なスケールで故人を偲びたい」「自然に還る形で見送りたい」といったものがあげられます。宇宙葬は、従来の葬送の概念を覆す、斬新な方法と言えるでしょう。費用や手続きなどの面でまだ課題はありますが、今後ますます注目を集める葬送方法の一つとなる可能性を秘めています。