
箸渡し:故人への想いを橋渡しする
- 火葬後の大切な儀式箸渡し火葬という形式が一般的になった現代においても、大切な人を亡くした悲しみは変わりません。その悲しみを乗り越え、故人を偲び、冥福を祈るために、様々な儀式が大切に受け継がれています。その中でも、「箸渡し」は、火葬後の別れ際に執り行われる、特に重要な儀式のひとつです。箸渡しは、二人一組になった参列者が、箸を用いて丁寧に火葬された遺骨を拾い上げ、骨壺へと納める儀式です。小さな骨片一つ一つを、まるで故人を慈しむかのように扱うその所作は、故人に対する深い愛情と敬意の表れと言えるでしょう。誰かの手を借りなければ拾えないほどの小さな骨片にも、確かに故人が存在していた証を見出すことができるのです。この儀式には、「あの世へ旅立つ故人が迷わず成仏できるよう、橋渡しをする」という意味が込められています。また、参列者にとっては、生前の故人の温かさに触れ、共に過ごした日々を振り返りながら、最後の別れを告げる貴重な時間ともなります。箸渡しは、単なる儀式ではなく、故人への想いを形にする大切な行為と言えるでしょう。