中包み

人の最期の別れである葬儀に参列する際には、故人を偲び、ご遺族を慰める気持ちを表すために、金包みを持参します。この金包みは「香典袋」と呼ばれ、表書きや入れる金額など、いくつか注意すべき点があります。その中でも、特に重要なのが「熨斗（のし）」です。熨斗は、もともと鮑などの乾物を贈答品としていた時代に、その長寿にあやかり、縁起物として添えられていたものです。熨斗は、時代とともに簡略化され、現在では金包みの上部に印刷または貼り付けられた飾りとなっていますが、その意味合いは、現在でも大切な気持ちを表すものとして受け継がれています。香典袋を選ぶ際には、まず、水引の種類と本数に注意が必要です。水引は、不幸が再び起こらないようにとの願いを込めて、結び切りとされ、一般的には、黒白または黄白、銀色の結び切りが用いられます。本数は、地域や宗教、宗派によって異なりますので、事前に確認することが大切です。表書きは、薄墨の筆ペンを用いて、楷書で丁寧に書きましょう。表書きは、主に「御霊前」「御香典」「御仏前」のいずれかを用います。「御霊前」は、通夜と葬儀のどちらにも使用できます。「御香典」は、仏式の場合にのみ使用します。「御仏前」は、四十九日後の法要に使用します。香典袋に入れる金額は、故人との関係性や年齢、自分の立場などを考慮して決めます。これらのマナーを守り、故人を偲び、ご遺族への心遣いを示しましょう。