両墓制

墓石

お墓参りの歴史:参り墓と両墓制

現代では、お墓参りとといえば、綺麗に整備された墓地に整然と墓石が並び、静寂な空間の中で故人を偲ぶ場所というイメージが強いです。しかし、少し過去に目を向けると、お墓参りの風景は大きく異なっていました。かつて日本では、火葬ではなく土葬が一般的でした。そのため、遺体を埋葬するための広い土地が必要となり、お墓は街の中心部ではなく、人里離れた場所に作られることがほとんどでした。交通手段が発達していなかった時代、お墓まで行く道のりは険しく、簡単にお参りできるものではありませんでした。人々は、年に数回のお盆やお彼岸の時期など、特別な機会に長い道のりを歩いてお墓を訪れていたのです。また、土葬の場合、遺体が腐敗したり、動物に荒らされることを防ぐため、大きな石や塚を築く必要がありました。そのため、現代のお墓のような立派な墓石は少なく、簡素な塚が多く見られました。このように、かつてのお墓参りは、現代のように気軽に行えるものではなく、故人を偲ぶと同時に、現世からあの世へと送り出す厳粛な儀式としての側面が強かったと言えるでしょう。時代と共に火葬が普及し、交通網が発達したことで、お墓参りの風景は大きく変化しました。お墓は街の近くに作られるようになり、いつでも気軽に故人と語らうことができるようになりました。しかし、どんなに時代が変わろうとも、お墓参りに込められた「故人を偲び、敬う」という気持ちは、これからも変わることはないでしょう。
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