
墓石の風格を高める「よど切り」
お墓参りに行くと、個性豊かな様々な形の墓石を目にします。近年では洋型のデザイン墓石も見かけるようになりましたが、依然として伝統的な和型の墓石が多くを占めています。その中でも、和型の墓石でよく見られる加工の一つに「よど切り」があります。よど切りとは、石の表面に段差をつける伝統的な加工方法です。別名「江戸切り」とも呼ばれ、その名の通り江戸時代から続く技法として知られています。ノミと金槌を使って石を削り、水平な溝を彫り込むことで、光の反射に変化が生まれます。この陰影が、墓石に独特の重厚感と静寂さを与え、見る人の心を落ち着かせる効果を生み出します。さらに、水はけが良くなるという実用的な側面も持ち合わせています。よど切りは、古くから日本人の感性と美意識によって受け継がれてきました。シンプルながらも洗練された美しさは、時代を超えて多くの人々に愛されています。お墓参りの際には、ぜひ墓石の表面に施されたよど切りにも目を向けてみて下さい。