
お墓を守る儀式「石割り」とは
古くから、日本ではお墓と石は切っても切れない深い関係にありました。緑あふれる自然豊かな国土を持つ日本では、木や土で作られたものは、時の流れとともに朽ち果ててしまう運命にありました。しかし、石は風雨にさらされても、長い年月を経てなおその姿を留めます。変わることのない石の姿は、人々の心に永遠のイメージを強く印象づけ、時代を超えて受け継がれていくもの、永遠の象徴として大切に扱われてきました。この永遠性を持つ石は、大切な人を亡くした人々の心に寄り添うように、お墓にも用いられるようになりました。石で作られたお墓は、雨風に打たれても朽ちることなく、その場に存在し続け、故人が生きた証を未来へと語り継ぐ役割を担っています。また、石には故人の魂が宿るとも考えられており、お墓に石を用いることで、故人の魂をその場に留め、末永く供養するという意味も込められるようになりました。このように、お墓と石は、日本の歴史や文化、そして人々の心の奥底にある死生観と深く結びつき、現代まで受け継がれてきたのです。