色々な葬送

自然に還る葬送:山散骨とは

- 山散骨の概要山散骨とは、故人のご遺骨を山間部に撒く、自然葬の一種です。豊かな緑に囲まれた静かな山々に抱かれ、遺骨を土に還すことで、自然と一体となることを目指す葬送方法として、近年注目を集めています。従来の一般的な埋葬方法とは異なり、墓石を建てる必要がないため、経済的な負担が軽いというメリットがあります。お墓を建てる費用や、その後の維持管理費がかからないため、費用を抑えたいという方にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。また、墓地の維持管理が不要という点も、少子高齢化が進む現代において、後継ぎがいない方などを中心に支持を集めている理由の一つです。山散骨を行う際には、事前に散骨を行う山や業者との契約が必要となります。また、場所によっては散骨が禁止されている場合もあるため、注意が必要です。散骨を行う際には、故人の遺志を尊重し、自然環境への影響にも配慮することが大切です。
仏壇・仏具

浄土真宗における法名軸:その意味と使い方

- 法名軸とは法名軸とは、亡くなった方の仏教での名前である「法名」を記した掛け軸のことです。仏教では、人は亡くなると仏弟子となり、この世での名前である俗名から仏の世界での名前である法名が与えられると考えられています。この法名を記したものが法名軸であり、浄土真宗では位牌の代わりに用いられます。法名軸は、一般的には白地の布に黒字で書かれます。中央上部には「南無阿弥陀仏」や「帰命尽十方無碍光如来」といったお経の言葉が記され、その下に故人の法名、亡くなった年月日、享年などが書かれます。場合によっては、俗名や没地の地名、戒名などが併記されることもあります。法名軸は、葬儀や法要などの際に仏壇や祭壇に掛けられます。故人を偲び、供養するための大切な品であり、浄土真宗では位牌の役割も担うことから、大切に扱われます。法名軸は、仏具店や寺院で購入することができます。最近では、インターネットで注文できる場合もあります。法名軸の形式や書体、材質などは宗派によって異なる場合があるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
相続

意外と知らない?遺産相続の順位を解説

人はこの世を去るとき、形あるものとないもの、様々なものを後に残していきます。形あるものの中には、土地や建物、預貯金、車、貴金属といった財産も含まれます。これらの財産は、故人が生前に築き上げてきたものであり、その人の人生そのものともいえるでしょう。残された家族は、深い悲しみの中、故人の思い出とともに、これらの財産と向き合っていくことになります。この時、故人の残した財産を誰がどのように相続するのか、また、借金などの負債があれば誰がそれを引き継ぐのか、といった問題が生じます。これを解決するのが「遺産相続」です。遺産相続においては、故人と生前に特に親しかった人が優先的に財産を受け継ぐことができると考える人もいるかもしれませんが、実際には法律で定められたルールに従って相続人が決められます。遺産を受け継ぐことができる人を「相続人」といいますが、この相続人には、民法で定められた明確な順位が存在します。一般的には、故人の配偶者は常に相続人となり、故人との間に子どもがいれば、その子どももまた相続人となります。もし、子どもがすでに亡くなっている場合は、その子どもに代わって、その子ども(故人から見ると孫)が相続人となることもあります。故人に子どもがいない場合は、両親や兄弟姉妹が相続人となる可能性があります。このように、遺産相続は故人と親しかったかどうかではなく、民法で定められた相続順位に基づいて決定されることが重要です。
墓石

墓石に刻む、曹洞宗の教え

曹洞宗は、鎌倉時代初期に道元禅師によって中国から伝えられました。道元禅師は、仏教が本来の姿に戻ること、人々が心の安らぎを得ることを願い、中国で修行を積み、その教えを日本に持ち帰りました。その教えは、厳しい戒律の中で修行に励むのではなく、坐禅を通して仏の心を悟り、日常生活の中でその心を活かしていくというものでした。道元禅師の教えは、その後、弟子である瑩山禅師によって全国に広められました。瑩山禅師は、人里離れた山奥ではなく、人々の暮らしに近い場所で教えを広めることを重視しました。その結果、曹洞宗は武士や農民など、幅広い層の人々に受け入れられていきました。曹洞宗では、坐禅を修行の中心としています。坐禅は、ただ静かに座っているだけのように見えますが、心の中を見つめ、雑念を取り払い、心を穏やかに保つための大切な修行です。そして、その穏やかな心で日常生活を送ることが、そのまま仏の道につながると説いています。曹洞宗の教えは、現代社会においても、心の安らぎを求める人々にとって、大切な道標となっています。
墓石

希少な美しさ、山崎石の魅力

- 青みがかった気品ある色合い山崎石は、灰色と白色の中間色に青みがかった、他にはない美しい色合いが特徴です。まるで澄み切った冬の空を閉じ込めたかのような、その凛とした青みは、見る人の心を静かに落ち着かせてくれます。灰色と白色が織りなす繊細な模様は、長い年月を経て風化した岩肌を思わせる、自然の力強さを感じさせます。この上品な色合いは、周囲の緑や空の色にも自然と溶け込みながらも、決して埋もれることなく、静かな存在感を放ちます。お墓参りに訪れた人は、その静謐な雰囲気に包まれ、故人との穏やかな時間を過ごすことができるでしょう。山崎石は、年月を経てもその美しさは失われにくく、風雨にさらされても色褪せることはありません。むしろ、時が経つにつれて、その深みが増し、より一層味わい深い表情を見せてくれます。長く墓石としてその輝きを保ち続け、世代を超えて故人の思い出を語り継いでくれるでしょう。
葬儀

浄土真宗における法名:その意味と重要性

- 法名とは何か法名とは、浄土真宗の門徒が仏門に入り、阿弥陀如来の弟子となった証として授かる新しい名前です。この世に生を受けた時と同じように、仏弟子として新たに生まれ変わったことを示す大切な意味を持っています。法名は、日常生活で名乗ることはほとんどありません。しかし、寺院で行われる法要や、亡くなった後にお墓に刻む名前として大切に扱われます。浄土真宗では、亡くなった方を阿弥陀如来の浄土へ導くため、僧侶が引導を渡します。この際に、故人は生前の名前を離れ、法名をもって仏弟子として浄土に往生すると考えられています。法名は、寺院の住職によって授与されます。一般的には、故人の人 characterや生き方、願いなどを考慮し、経典や仏教用語を組み合わせた二文字の戒名と、院号や位号などを組み合わせた四文字の法号で構成されます。法名は、単なる記号ではなく、阿弥陀如来の慈悲と教え、そして浄土への願いが込められた、尊い意味を持つものです。
相続

相続人がいない場合の財産管理:相続財産管理人とは?

人が亡くなると、その人が残した財産は、遺言書があればその内容に従って、なければ民法で定められた相続順位に従って、配偶者や子ども、親などの家族に引き継がれます。しかし、相続する親族が誰もいない場合や、相続人全員が相続を放棄した場合には、誰が故人の財産を管理するのでしょうか?このような場合に、家庭裁判所によって選任されるのが『相続財産管理人』です。相続財産管理人は、弁護士や司法書士などの専門家がなることが多く、故人の財産の調査、管理、そして債権者への支払いなどを行います。具体的には、預貯金の解約や不動産の売却、相続税の申告と納付などを行い、残った財産を国に帰属させる手続きを行います。相続財産管理人の選任には費用がかかり、その費用は故人の財産から支払われます。つまり、相続人がいないからといって、故人の財産が自動的に国のものになるわけではなく、適切な手続きを経て国庫に帰属するのです。相続人がいない場合の財産管理は複雑な手続きが必要となるため、専門家である相続財産管理人の役割は非常に重要です。
お供え

葬儀に捧げる山の幸:意味と種類を知る

- 開眼供養と山の幸「開眼供養」とは、仏教において、亡くなった方の魂が新たに仏様となることを願い、仏様の目を象徴的に開く儀式のことをいいます。仏様の魂がこの世からあの世へと旅立ち、再びこの世に仏様として生まれ変わるという輪廻転生の考え方に基づき、この世に残された私たちが、故人の冥福を祈り、安らかな旅立ちを願って営まれます。この儀式では、故人があの世でも不自由なく過ごせるようにと、様々な供え物を用意します。ご飯や汁物、故人の好物といった一般的な供え物の他に、「山の幸」と呼ばれるものも重要な意味を持ちます。「山の幸」とは、山で採れる恵みの総称で、野菜や果物、きのこ、山菜などが挙げられます。自然の恵みそのものである「山の幸」を供えることは、自然への感謝の気持ちを表すと同時に、故人があの世で食べ物に困ることなく、安らかに過ごせるようにとの願いが込められています。時代とともに変化してきた葬儀の形ですが、故人を偲び、その冥福を祈る気持ちは今も昔も変わりません。開眼供養で供えられる「山の幸」には、自然と人とのつながり、そして生と死に対する深い想いが込められているのです。
葬儀

葬儀における施主の役割と重要性

- 施主とは葬儀は、故人との最後のお別れを告げる大切な儀式ですが、多くの費用と準備が必要です。 その費用を負担し、葬儀全体を取り仕切る責任者となるのが「施主」です。 一般的には、故人と最も深い関係にあった人が施主を務めます。配偶者や子供がそれにあたり、故人が未婚の場合や子供がまだ幼い場合は、故人の両親が施主となるケースが多いでしょう。しかし、必ずしも故人と血縁関係のある人が施主になるとは限りません。 例えば、故人の両親が既に他界している場合や、故人と生前に親交が深かった友人が施主を務めることもあります。 また、生前に故人自身が自分の葬儀について希望を表明していた場合、その希望に沿って施主が決定されることもあります。施主は、葬儀社との打ち合わせから、参列者への対応、葬儀後の事務手続きまで、多岐にわたる役割を担います。 そのため、時間的にも精神的にも大きな負担がかかることを覚悟しておく必要があります。 しかし、故人を偲び、その冥福を祈る最後の大切な役割を担うことは、深い悲しみの中にも、やりがいを感じられるものと言えるでしょう。
相続

遺産を受け継ぐ人:法定相続人とは?

人は皆、限りある時の中で人生を歩み、いつかはその幕を閉じます。そして、その生涯を終えた時、住み慣れた家や思い出の品々、あるいは資産など、形あるものとそうでないものを残していくことになります。残されたこれらの財産は、故人の意思を尊重しつつ、誰かの手に渡ることになります。では、故人の大切な財産は、一体誰の元へ受け継がれていくのでしょうか?このページでは、故人の財産を受け継ぐことができる「法定相続人」について詳しく解説していきます。誰かが亡くなった後、残された家族は深い悲しみに暮れる中で、様々な手続きに追われることになります。慣れない手続きの中で、混乱や不安を感じることでしょう。「法定相続人」の仕組みを理解することは、故人の想いを尊重し、残された家族が安心して手続きを進めるためにも非常に大切です。
相続

知っておきたい相続財産の基本

- 相続財産とは何か人がこの世を去るとき、形あるものと心の両方を残していきます。形あるもの、つまり残された財産のことを「相続財産」と呼びます。相続財産は、故人が築き上げてきた人生そのものを表すと言っても過言ではありません。現金や預貯金といった私たちが日頃よく使う財産はもちろんのこと、土地や建物などの不動産も含まれます。さらに、株や債券などの金融資産、車や宝石、美術品といった価値のあるものも相続財産の一部となります。相続財産は、プラスのものばかりではありません。住宅ローンや借金といったマイナスの財産も含まれるため、場合によっては相続によって財産を受け継ぐどころか、借金を背負ってしまうケースもあるのです。このように、相続財産は故人の人生が凝縮されたものであり、プラスとマイナスの両方の側面を持っています。そのため、相続財産について正しく理解し、適切な手続きを行うことが重要となります。
仏壇・仏具

葬儀における三方の役割と意味

- 三方とは神道や仏教の儀式において、欠かせないのが「三方」です。これは、神仏に捧げる供物をのせるための台のことです。一般的には、白木で作られた正方形のお盆のようなものを「折敷(おしき)」と呼びますが、この折敷に三方向、すなわち正面と左右に脚部をつけたものが「三方」と呼ばれます。この脚部は「刳形(くりかた)」と呼ばれる独特の形をしており、三方に刳形がある形状こそが、「三方」の名称の由来となっています。三方は、神棚や仏壇に供物を供える際だけでなく、地鎮祭や竣工式など、様々な神事や仏事にも用いられます。その際には、米や塩、水、酒、果物、菓子など、儀式の内容に合わせて様々な供物を三方にのせていきます。三方は、単なる台ではなく、神聖な儀式と神仏とを繋ぐ大切な役割を担っています。丁寧に扱い、敬意を持って使用することが重要です。
お供え

お盆の準備、精霊棚とその意味合い

お盆の季節は、あの世からご先祖様があたたかく懐かしい我が家へと帰ってこられる特別な時期です。この時期、私たちはその大切なご先祖様を丁重にお迎えし、共に過ごすための準備を行います。その中心となるのが「精霊棚」です。精霊棚は、単なる飾り棚ではありません。ご先祖様の霊魂が一時的に宿る神聖な場所です。そのため、心を込めて準備をすることが大切です。まず、棚を清め、白い布を掛けます。そして、位牌を一番上に安置し、その手前に故人の好物や季節の果物、野菜などを供えます。さらに、香を焚き、灯りを灯し、ご先祖様が迷わずに帰ってこられるように、そして安らかにお過ごしいただけるようにと願いを込めます。近年では、住宅事情の変化から、精霊棚の代わりに、コンパクトな盆棚を設ける家庭も増えています。しかし、その形や規模に関わらず、ご先祖様を敬う気持ちは変わりません。ご先祖様は、私たちを見守り、支えてくださる存在です。お盆の時期に精霊棚を設け、感謝の気持ちを込めてお迎えすることで、家族の絆を再確認し、未来へと繋いでいくことができるのではないでしょうか。
法事

故人を偲び、冥福を祈る:法要の意味と重要性

- 法要とは何か法要とは、仏教の教えに基づき、亡くなった方の冥福を祈り、供養するための儀式です。この世を去った後も、故人が安らかに過ごせるように、そして迷うことなくあの世での旅を続けられるようにと、遺された人々が願いを込めて行います。具体的には、僧侶にお経をあげてもらい、故人の成仏を願います。お経には、仏様の教えや功徳が記されており、それをお坊様に唱えていただくことで、故人にその功徳が届けられると考えられています。また、法要では、参列者と共に焼香や読経を行い、故人を偲びます。法要は、故人が亡くなった日から四十九日、一周忌、三回忌など、特定の日にちに行われます。これらの日は、故人があの世で無事に旅を続けられるように、そしてより良い世界に生まれ変われるようにと、祈りを捧げるための大切な節目とされています。法要は、故人を偲び、冥福を祈るための大切な儀式であると同時に、遺された家族や親族が、故人の死を受け止め、悲しみを乗り越えていくための大切な機会でもあります。
法事

仏教における三大法会:その意味と歴史

- 三大法会とは仏教では、開祖であるお釈迦様の一生において特に重要な出来事を「法会」と呼び、敬いの念を持ってその教えを伝えています。数ある法会の中でも、とりわけ重要とされるのが「三大法会」です。これは、お釈迦様の入滅を偲ぶ「涅槃会」、誕生を祝う「灌仏会」、そして悟りを開いた「成道会」の三つの法会を指します。涅槃会は、旧暦の2月15日に行われ、お釈迦様が80歳で入滅された際の教えを振り返り、死と向き合いながら命の尊さを改めて考えます。灌仏会は、4月8日に行われ、生誕時の奇跡を喜び、感謝を込めて仏像に甘茶をかける習わしがあります。これは、私たち一人ひとりが仏となる可能性を秘めているという教えを表しています。そして成道会は、12月8日に行われます。お釈迦様が35歳の時、長年の修行の末に悟りを開かれた、仏教にとって最も重要な出来事の一つです。厳しい修行を経て悟りに至ったお釈迦様の強い意志と、その尊い教えに感謝を捧げます。これらの三大法会は、仏教徒にとってお釈迦様の生涯と教えを深く心に刻み、信仰を新たにするための貴重な機会となっています。
相続

遺産相続の基礎知識

- 相続について人が亡くなると、その方が生前に築き上げてきた財産は、残された家族や親族に引き継がれます。これが「相続」です。相続の対象となる財産は、現金や預貯金といった金融資産はもちろんのこと、土地や建物などの不動産、株や債券などの有価証券、車や貴金属なども含まれます。 つまり、プラスの価値を持つものすべてが相続財産となり得るのです。しかし、相続財産にはプラスのものばかりではありません。借金のように、マイナスの価値を持つものも含まれるため注意が必要です。これらの財産は、故人の意思が反映された遺言書が存在する場合はその内容に従い、遺言書がない場合は民法で定められた相続のルールに従って、配偶者や子どもなどの相続人に分配されます。相続は、人生における大きな転換期であり、残された家族にとっては、精神的な負担も伴う複雑な手続きです。そのため、相続について事前にある程度の知識を身につけておくことが重要です。
墓石

真言宗と墓石:故人を偲ぶ形

- 真言宗の教え真言宗は、平安時代に弘法大師空海によってもたらされた仏教の一派です。遣唐使として海を渡り、中国(唐)で密教を学んだ空海は、膨大な経典や仏像などを持ち帰り、日本に真言密教を広めました。真言宗では、宇宙の中心には大日如来という仏様がおり、私たち人間を含め、森羅万象すべてに仏様の命が宿ると考えられています。そして、真言宗の教えの大きな特徴は、「即身成仏」という考え方です。これは、私たちが生きているこの現実の世界で、修行を積むことで、誰でも仏様になることができると説くものです。空海は、厳しい修行によって悟りを開き、人々を救済するために、真言密教の教えを広めました。その教えは、現代社会においても、多くの人々に生きる指針を与え続けています。
法事

故人を偲ぶ、法事の意義と流れ

「法事」とは、仏教の教えに基づき、亡くなった方の魂の安らぎを願い、その冥福を祈るための儀式のことです。この世を去った後も、故人様は魂として存在し、迷いや苦しみから解放されるために、残された家族や親族が共に祈りを捧げます。法事は、故人様の命日や、仏教の教えに基づいた特定の日にちに行われます。四十九日や一周忌、三回忌といったように、節目となる日に故人様を偲び、冥福を祈ることで、魂が安らかに成仏できるよう導くとされています。法事は、ただ形式的に行うものではありません。そこには、故人様への感謝の気持ち、生前の思い出を語り継ぐ意味、そして、今を生きる私たち自身の心を支える大切な意味が込められています。法事を通して、故人様への想いを新たにし、残された家族や親族の絆を深めることができるのです。
法事

三十三回忌:故人を偲ぶ大切な節目

- 三十三回忌とは三十三回忌とは、故人が亡くなられてから満三十二年目の命日に行う法要のことを指します。仏教の世界では、人が亡くなってから四十九日、一周忌、三回忌と追善供養を重ねることで、故人は徐々に極楽浄土へと近づいていくと考えられています。そして、三十三回忌は、故人が長い年月を経て、ようやくあの世で安らかな境地に至ったとされる重要な節目となります。この法要は、故人の冥福を祈ると共に、遺族や親族一同が集い、在りし日の故人を偲ぶ大切な機会となります。かつては盛大に執り行われることが多かった三十三回忌ですが、近年では、親族が集まりにくい、費用を抑えたいといった理由から、三十三回忌を区切りとして、以降の法要を行わないケースも増えています。法要の形式や規模は、地域や宗派、家族の考え方によって異なりますが、僧侶を自宅や墓前に招いて読経をいただくことが一般的です。また、法要後には、参列者で食事を共にする「お斎」と呼ばれる席を設けることもあります。三十三回忌は、故人を偲び、その魂の安寧を祈る大切な機会であると同時に、遺された者が故人への感謝の気持ちを新たにする機会でもあります。
お墓・霊園

お墓の専門家に聞く!曹洞宗のお墓について

- 曹洞宗とは曹洞宗は、鎌倉時代中期に道元禅師によって中国から伝えられた仏教の一派です。日本で広く信仰を集めている禅宗の中でも、臨済宗と並ぶ二大宗派の一つとして知られています。曹洞宗の大きな特徴は、坐禅を重視している点です。坐禅とは、姿勢を正して静かに坐り、呼吸を整えながら心を落ち着かせる修行法です。曹洞宗では、この坐禅こそが、心の中にある様々な煩悩から離れ、悟りへと至るための最も重要な修行であると説いています。厳しい修行を通して悟りを目指すという教えは、鎌倉武士の精神にも深く影響を与え、多くの支持を集めました。そして、室町時代には、一休宗純禅師のような傑出した禅僧も輩出し、その教えは現代まで脈々と受け継がれています。曹洞宗は、神奈川県横浜市にある總持寺と、福井県吉田郡永平寺町にある永平寺の二つの寺院を大本山としています。特に、永平寺は道元禅師が開いた由緒ある寺院であり、現在も修行僧たちが厳しい修行生活を送る姿を見ることができます。曹洞宗は、現代社会においても、多くの人々に心の拠り所として親しまれています。
その他

法華経の世界:宗派を超えた信仰の絆

「南無妙法蓮華経」という言葉を耳にしたことはありますか? この七文字は、法華経というお経を特に大切にする法華宗、中でも日蓮宗で信仰の拠り所とされているお題目です。法華宗とは、仏教の中でも「妙法蓮華経」、つまり法華経を最も重要な経典として尊ぶ宗派全体を指します。では、なぜ法華経がそれほど重要なのでしょうか? それは、このお経にこそ仏様の教えの全てが込められていると信じられているからです。 人々が迷いなく悟りの境地に至るための道筋が、この一巻のお経に余すところなく説かれているとされています。そして、この尊い教えをより多くの人に伝え、実践していくために、時代や地域、人々の考え方に合わせて様々な宗派が誕生しました。それぞれが法華経の教えを深く解釈し、独自の信仰の形を生み出してきたのです。
法事

知っておきたい、墓石と初七日忌の関係

人が亡くなってから七日目のことを初七日といい、故人を偲んで冥福を祈る大切な法要を行います。かつてはこの法要は、四十九日の忌明けの後に行うことが一般的でした。しかし近年では、社会構造や生活様式の変化に伴い、初七日の日に合わせて墓石を建てる方が増えています。墓石は、故人の魂が宿る場所として、また、生きた者が故人を偲ぶ象徴として、古くから大切にされてきました。石に名前や戒名、没年月日などを刻むことで、故人の存在を後世に伝え、その死を悼みます。初七日に墓石を建てることは、遺族にとって、故人との別れを改めて実感し、深い悲しみを乗り越えていくための区切りとなる儀式といえるでしょう。また、墓石が完成することで、遺族や親族、故人と親交のあった人々が集い、故人を偲び、思い出を語り合う場が生まれます。このように、初七日という大切な日に墓石を建立することは、故人の冥福を祈るとともに、遺された人々の心を癒すという意味を持つ大切な儀式として、近年その重要性を増していると言えるでしょう。
マナー

喪明けの意味:喪に区切りを告げ、新たな日々へ

- 喪明けとは「喪が明ける」という言葉の通り、故人が亡くなった悲しみを乗り越え、日常生活へと戻っていく区切りのことを「喪明け」と言います。これは単なる期間を表す言葉ではなく、故人を偲び、その死を悼む期間である「喪中」を終え、遺された人々が前向きに生きていくための大切な節目となる儀式です。喪中の期間は、故人との関係性や、受け継がれてきた習わし、住んでいる地域によって大きく異なります。一般的には、故人が肉親であった場合は、七七日忌を終えた後である四十九日を目安とする場合が多く、一年間の忌明けを待つこともあります。 また、配偶者の場合は、さらに長い期間を喪に服すことが一般的です。喪明けを迎えると、忌中とされていた期間に行うのを控えていた、慶事への参加や、神社への参拝、華やかな服装なども可能となります。ただし、喪明けはあくまで区切りであり、故人を偲び、その死を悼む気持ちは、その後も変わることはありません。 喪明け後も、故人を偲ぶ気持ちを大切にしながら、日常生活を送ることが重要です。
法事

三十五日の本当の意味とは?

- 三十五日の意味三五日とは、仏教において、人が亡くなってから満35日目に行われる法要のことを指し、五七日や小練忌とも呼ばれます。故人が亡くなってから七日ごとに追善供養の法要を営むのが仏教の教えであり、初七日から始まり、二七日、三七日と続きます。そして、五七日である三十五日は、閻魔大王の最初の審判が下りる日として、特に重要な意味を持つとされています。この日には、閻魔大王が故人の生前の行いを審判し、その後の行き先が決められると信じられてきました。そのため、遺族は故人の冥福を祈り、少しでも良い審判が下されるようにと、特に丁寧な供養を行うことが重要視されます。地域によっては、三十五日の法要をもって忌明けとする場合もあります。これは、三十五日をもって故人が無事にあの世へと旅立ったと見なされるためです。しかし、すべての地域で三十五日を忌明けとするわけではなく、四十九日を忌明けとする地域も少なくありません。いずれにしても、三十五日は故人の冥福を祈り、生前の感謝の気持ちを伝える大切な機会であることに変わりはありません。
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