葬儀における高坏:供養の心を形にする
葬儀と墓石を知りたい
先生、「高坏」って葬式でよく見るけど、あれは何を置くための台のことですか?
葬儀と墓石の研究家
よくぞ聞いてくれました。「高坏」は、果物やお菓子、故人が好きだったものなどをお供えする台のことですよ。
葬儀と墓石を知りたい
へぇ~!果物とかお菓子以外にも、故人が好きだったものを置くこともあるんですね!
葬儀と墓石の研究家
そうです。故人を偲んで、好きだったものを供えることで、あの世でも楽しく過ごせるようにという願いが込められているんですよ。
高坏とは。
お葬式で使われる「高坏(たかつき)」という言葉は、果物やお菓子などをお供えする時に使う台の事です。
高坏とは
– 高坏とは
高坏とは、葬儀や法要の際に、故人への供養として果物や菓子などを盛るための台のことで、故人が生前に好んでいたものや季節のものを供える際に使用されます。
一般的には、三方と呼ばれるお供え物を乗せるための台の上に置かれます。三方は、神道において神聖なものとされる「四方」から一方向を取り除き、「神様の世界」と「人の世界」を隔てるという意味合いを持つとされています。そして、その上に高坏を置くことで、故人の霊を慰め、供養の心を表すという意味が込められています。
高坏は、地域や宗派によって、形状や材質、供えるものが異なる場合があります。例えば、材質は木製や漆塗り、陶器などがあり、形状も円形や方形、八角形など様々です。
また、高坏に供えるものは、故人の好物や季節の果物、菓子などが一般的ですが、地域によっては、故人が生前に好きだった食べ物や飲み物、趣味のものなどを供える場合もあります。
高坏は、単なる供物台ではなく、故人を偲び、供養の心を表すための大切な道具として、古くから日本の葬儀や法要で用いられてきました。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 葬儀や法要の際に、故人への供養として果物や菓子などを盛るための台 |
用途 | 故人が生前に好んでいたものや季節のものを供える際に使用 |
置き場所 | 三方と呼ばれるお供え物を乗せるための台の上 |
意味合い | 故人の霊を慰め、供養の心を表す |
種類 | 地域や宗派によって、形状や材質、供えるものが異なる |
材質 | 木製、漆塗り、陶器など |
形状 | 円形、方形、八角形など |
供物 |
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高坏の役割
– 高坏の役割
葬儀や法要の際に目にする高坏。それは故人へのお供え物を載せる台として、古くから日本の葬送儀式において重要な役割を担ってきました。単なる物入れではなく、そこには深い意味が込められています。
古来より、人は自然への畏敬の念を抱き、神仏の存在を信じてきました。食べ物を捧げる行為は、神仏への信仰と密接に結びついており、感謝の気持ちを表すとともに、加護や恵みを願う意味を持っていました。
高坏にお供え物を捧げる行為も、この信仰と深く関係しています。故人の霊を慰め、あの世での幸せを祈る気持ち、そして生前の感謝の気持ちを表す意味が込められているのです。
また、高坏に供えられた食べ物は、後に参列者で分け合い、共に食します。これは、故人を偲びながら、その死を悼むとともに、故人と分かち合った命に感謝し、生きている喜びを分かち合う意味があります。みんなで同じ食べ物を口にすることで、故人との繋がりを感じ、心を通わせるのです。
このように、高坏は単なるお供え物の台ではなく、故人への敬意や感謝の気持ちを表すための大切な役割を担っています。そして、高坏を介して、私たちと故人との間には、目に見えない温かな絆が結ばれていると言えるでしょう。
高坏の役割 | 詳細 |
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故人への祈り | 故人の霊を慰め、あの世での幸せを祈る、生前の感謝の気持ちを表す |
故人との繋がり | 供え物を分け合い食すことで、故人を偲び、故人と分かち合った命に感謝し、生きている喜びを分かち合う、故人との繋がりを感じる |
高坏の形状と材質
– 高坏の形状と材質
仏壇や墓前に供物を捧げる際に用いる高坏は、その形状や材質も多岐に渡ります。
一般的な形状としては、円形または四角形の台に、短い脚がついたものが主流です。 この台の部分に、故人の好物や果物、お菓子などを載せてお供えします。
材質においても、古くから使われてきた木製の高坏や、光沢が美しい漆塗りのもの、重厚感のある金属製のものなど、様々な種類が存在します。
近年では、シンプルながらも洗練されたデザインのモダンな高坏も人気を集めています。 これらの高坏は、現代的な住宅にも馴染みやすく、若い世代を中心に選ばれています。
高坏を選ぶ際には、葬儀の形式や規模、故人の好みなどを考慮することが大切です。 故人が生前に愛用していた食器や、好んでいた色、雰囲気などを参考にしながら、心を込めて供養できる高坏を選びましょう。
項目 | 詳細 |
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形状 | – 円形 – 四角形 – 短い脚付き |
材質 | – 木製 – 漆塗り – 金属製 – モダンなデザイン |
選び方のポイント | – 葬儀の形式 – 規模 – 故人の好み – 生前に愛用していた食器 – 好んでいた色や雰囲気 |
高坏を使用する際の注意点
お仏壇にお供え物をする際に用いる高坏は、常に清浄な状態を保つことが大切です。使用前に柔らかい布で丁寧に埃や汚れを拭き取り、水滴が残らないようしっかりと乾かしましょう。特に、お水をお供えした後は、高坏の底に水が溜まりやすいので注意が必要です。お供えする食べ物は、故人が生前好まれたものや旬のものを、心を込めてお供えしましょう。ただし、傷んでしまったものや腐りやすいものは避け、お供えした後もこまめに交換し、お仏壇を清潔に保つように心がけましょう。また、宗派によっては高坏の向きや位置が決まっている場合があります。ご自身の家の宗派の作法を確認し、失礼のないよう丁寧に扱いましょう。高坏は、故人への感謝の気持ちを表す大切な仏具です。日々の丁寧な扱いを心がけ、心を込めてお参りしましょう。
項目 | 詳細 |
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高坏の扱い | 常に清浄な状態を保つ
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お供え物 |
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高坏の向きや位置 | 宗派によっては決まりがあるため、ご自身の家の宗派の作法を確認する |
高坏の意味 | 故人への感謝の気持ちを表す大切な仏具 |
高坏に込められた想い
– 高坏に込められた想い
高坏は、ただ故人の霊前に供物を置くための台というだけではありません。それは、故人を偲び、感謝の気持ちを形にするための大切な心の拠り所と言えるでしょう。
古くから、人は大切な誰かを亡くした時、その悲しみや喪失感をどうにか乗り越えようと、様々な儀式や習慣を作り上げてきました。その一つが、美しい高坏に心を込めて果物や菓子を盛り付け、故人の霊前に供えるという行為です。
一つ一つの供物には、生前の故人との温かい思い出や、感謝の気持ちが込められています。 あの笑顔が好きだったからと、色鮮やかな果物を供えたり、甘いものが好きだったからと、心を込めて作った菓子を供えたり。
高坏に供物を供える行為は、単なる形式的なものではありません。それは、故人との繋がりを再確認し、静かに語りかける大切な時間となるのです。そして、その時間を通して、残された人々は深い悲しみをゆっくりと癒やし、前を向いて生きていく力を得ていくことができるのではないでしょうか。