故人を偲び、敬意を込めて贈る「贈り名」

故人を偲び、敬意を込めて贈る「贈り名」

贈り名とは

– 贈り名とは

-# 贈り名とは
「贈り名」とは、この世を去った方の生前の功績や人柄をたたえ、敬意を表すために贈られる名前のことです。

これは単なる呼び名ではなく、故人への深い愛情と敬意が込められた、いわば最後の贈り物といえるでしょう。

古くから受け継がれてきたこの伝統は、仏教の教えに基づき、亡くなった方が仏弟子となり、極楽浄土へ向かう際に授かる新たな名前という考え方が根底にあります。

生前の名前とは別に、新たに贈られる名前には、「安らかに眠ってほしい」「仏様の教えのもと、幸せに過ごしてほしい」といった遺族の願いが込められています。

贈り名は、戒名と混同されることもありますが、戒名は仏門に入る際に授かる名前であるのに対し、贈り名は宗教の有無に関わらず、故人を偲び、その名を後世に残すための尊い行為といえます。

墓石に刻まれることで、永遠に残り続ける贈り名は、故人への変わらぬ愛情と敬意を表現する、大切な意味を持つものなのです。

贈り名の由来

– 贈り名の由来

現在では、亡くなった方を敬い、生前の功績をたたえるために「贈り名」が贈られることが一般的となっています。この贈り名、一体いつ頃から、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

贈り名のルーツは、古代の日本に存在した「忌み名」の習慣にあると言われています。当時の人々にとって、高貴な方の本当の名前（実名）を口にすることは、大変失礼な行為だと考えられていました。そこで、直接名前を呼ぶことを避けるために、その人の特徴や功績を表す「字（あざな）」を代わりに用いたのです。

この「忌み名」の習慣は、時代が進むにつれて、故人への敬意を表す「贈り名」へと変化していきました。死後、その人の徳や功績をたたえ、新たにふさわしい名前を贈ることで、生前の苦労をねぎらい、冥福を祈るようになったのです。

このように、贈り名には、古くからの日本人の死生観や、死者への畏敬の念が深く関わっていると言えるでしょう。

贈り名の意義

– 贈り名の意義

人は誰しもいつかはその生涯に幕を閉じ、現世を去ることになります。そして、残された家族は深い悲しみの中、故人との別れを偲び、その冥福を祈ることになります。

その際に重要な役割を果たすのが「贈り名」です。これは、単なる呼び名ではなく、故人の生きた証を後世に伝え、遺族にとっては心の拠り所としての役割も果たします。

生前の名前とは別に、仏門に入ることで新たな名前が授けられます。
仏教においては、贈り名によって故人は俗世への執着から離れ、安らかに成仏し、新たな世界へと旅立つことができるとされています。

また、墓石に刻まれた贈り名は、訪れる人々に故人の姿を偲ばせる大切な役割も担っています。

このように、贈り名は、故人にとってはもちろんのこと、残された遺族にとっても深い意味を持つものです。

贈り名の構成

– 贈り名の構成

お墓に刻む言葉として、戒名と並んで重要なのが「贈り名」です。

贈り名は、仏教の教えに基づいた二文字の漢字を組み合わせることで構成されます。
戒名と同様に、生前の職業や趣味、人柄などを象徴する漢字が選ばれることが多く、故人を偲ぶ大切な要素となっています。

例えば、生前に書や絵画を愛した方であれば、「○○院文🎨居士」のように、趣味を表す漢字が用いられます。
また、「慈」や「愛」といった、故人の人柄を表す漢字が選ばれることもあります。

このように、贈り名は、故人の個性を表現するだけでなく、その人となりを後世に伝える役割も担っています。

贈り名を考える際には、故人の生き様を振り返り、その人らしい言葉を選んであげることが大切です。

贈り名の種類

お墓に刻む大切な言葉である贈り名。
その種類は、宗派や地域によって実に様々です。

古くから広く用いられているのは「院号」や「道号」です。
「院号」は、生前に功績を残した高僧や貴人に贈られた称号の名残で、格式の高さを示します。
一方、「道号」は、仏教に帰依した証として、僧侶から信徒に対して授けられることが多いものです。

近年では、これらの伝統的な贈り名に加え、故人の人柄や生き様を偲ばせる、より自由な言葉を選ぶ方が増えています。
生前の愛称や、趣味、座右の銘などを用いることで、世界にたったひとつの、心のこもったお墓を建てることができます。

大切な方を亡くされた悲しみは計り知れません。
しかし、残された私たちができることは、故人の冥福を祈り、その記憶を未来へと繋いでいくことです。

贈り名は、単なる呼び名ではなく、故人の魂を象徴する大切な言葉です。
ご家族やご親族とよく相談し、故人を偲び、その心を未来へと繋ぐ、ふさわしい贈り名を見つけてください。