知っておきたい葬儀の基礎知識:棺前とは
葬儀と墓石を知りたい
先生、「棺前」って仏教だけの言葉じゃないんですか?キリスト教でも使うって聞いたんですけど…
葬儀と墓石の研究家
よく知ってるね!日本では仏教の言葉として使われることが多いけど、キリスト教でも「棺前」という言葉を使うことがあるよ。ただし、全く同じ意味で使われているわけではないんだ。
葬儀と墓石を知りたい
え、そうなんですか?どういう時に使うんですか?
葬儀と墓石の研究家
例えば、キリスト教のプロテスタントでは、お葬式の前の晩に牧師さんがお話をされることを「棺前祈祷会」と呼ぶんだ。カトリックでも似たようなものがあって「棺前祈祷式」と呼ぶよ。どちらも、亡くなった方を偲んで祈りを捧げる大切な儀式なんだ。
棺前とは。
「棺前」という言葉は、お葬式で使われる言葉で、特に棺を送り出す際に行う、仮の葬儀のことを指します。 神道では、「棺前祭」や「出棺祭」と呼ばれる儀式があり、これは、これから棺を送り出すことを知らせる意味があります。 キリスト教では、プロテスタントでは、葬儀の前夜、つまり仏教でいう通夜に、牧師さんがお話をされることを「棺前祈祷会」と呼びます。 一方、カトリックでは、同じように葬儀の前夜に、神父さんがお話をされることを「棺前祈祷式」と呼びます。
棺前の意味
「棺前」とは、故人を送る最後の儀式である葬儀において、出棺の前に故人とのお別れとして行う儀式のことを指します。一般的には、この意味合いで用いられることが多いですが、葬儀全体を指して「棺前」と呼ぶ場合や、宗教や宗派によって異なる意味を持つ場合もあるため注意が必要です。
日本では、古くから仏教、神道、キリスト教など、様々な宗教・宗派の葬儀が行われてきました。それぞれの宗教・宗派によって、葬儀の儀式や呼び方が異なるのは当然のことです。「棺前」という言葉一つとっても、仏教では「お別れの時間」、神道では「拝顔の儀」、キリスト教では「献花」など、それぞれの教えに基づいた意味合いと、それに合わせた呼称が用いられています。
そのため、葬儀に参列する際には、故人の信仰する宗教や宗派を事前に確認し、その場にふさわしい行動をとることが大切です。それぞれの宗教・宗派の作法やマナーを事前に理解しておくことが、故人を偲び、遺族の方々の心に寄り添うことに繋がります。
項目 | 説明 |
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棺前 | 一般的には、出棺前の故人との最後の別れとして行う儀式を指す。 ただし、葬儀全体を指す場合や、宗教や宗派によって異なる意味を持つ場合もある。 |
宗教・宗派による違い | 日本では仏教、神道、キリスト教など、様々な宗教・宗派の葬儀が行われており、それぞれ儀式や呼び方が異なる。 例:仏教では「お別れの時間」、神道では「拝顔の儀」、キリスト教では「献花」など。 |
注意点 | 葬儀に参列する際は、故人の信仰する宗教や宗派を事前に確認し、その場にふさわしい行動をとることが大切。 |
仏式における棺前
– 仏式における棺前
仏式では、「棺前」という言葉は特定の儀式を指すものではありません。一般的に「棺前」とは、通夜と葬儀・告別式の間に、僧侶にお経をあげてもらい、焼香などを行うことで、故人を偲び、お別れをする時間とされています。
この時間は、参列者それぞれが故人との最後の時間を大切に過ごし、冥福を祈るための貴重なひとときとなります。生前の故人の面影を思い出しながら、感謝の気持ちを手向け、安らかな旅立ちを祈ります。
また、棺前では、故人と過ごした日々を振り返り、思い出話に花を咲かせることもあります。楽しかったこと、嬉しかったこと、時には悲しかったことなど、様々な思い出が語られ、故人を偲びます。それは、残された者が共有する大切な時間となり、悲しみを分かち合い、心を癒やす効果もあると言えるでしょう。
このように、仏式における棺前は、形式ばった儀式ではなく、故人とのお別れを惜しみ、冥福を祈る、自由で温かい時間の流れの中で営まれます。
仏式における「棺前」 | 詳細 |
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意味合い | 特定の儀式を指す言葉ではなく、通夜と葬儀・告別式の間に、故人を偲び、お別れをする時間 |
過ごし方 | 僧侶にお経をあげてもらい、焼香を行う 故人との最後の時間を大切に過ごし、冥福を祈る 故人との思い出話をする |
意義 | 残された者が悲しみを分かち合い、心を癒やす 故人との思い出を共有し、感謝の気持ちを手向け、安らかな旅立ちを祈る |
神式における棺前祭
– 神式における棺前祭
神道では、故人があの世へと旅立つ際、その魂を「霊璽(れいじ)」と呼ばれる木牌に遷す儀式を行います。この儀式は「棺前祭」または「出棺祭」と呼ばれ、仏式の葬儀における葬儀・告別式に相当します。棺前祭が滞りなく執り行われた後、故人は火葬場へと向かいます。
神道では、人は亡くなるとその魂は祖霊となり、子孫を見守る存在になると考えられています。そして、葬儀は故人の魂を祖霊へと導き、神様のもとへとお送りする神聖な儀式とされています。
棺前祭は、神職と参列者全員で故人の旅立ちを見送る厳粛な儀式です。祭壇には、故人の霊をお祀りする霊璽のほか、故人が生前好んでいたものや、故人のために用意した食べ物などが供えられます。
儀式は、まず神職によるお祓いで始まります。続いて、神職が祝詞を奏上し、故人の魂を霊璽へと遷します。そして、参列者全員で焼香を行い、故人との別れを惜しみます。
棺前祭は、故人の旅立ちを祝うとともに、残された者が故人の冥福を祈るための大切な儀式です。
項目 | 内容 |
---|---|
儀式名 | 棺前祭(出棺祭) |
仏式における相当儀式 | 葬儀・告別式 |
目的 | 故人の魂を霊璽に遷し、祖霊へと導き、神様のもとへとお送りする |
内容 | 神職によるお祓い、祝詞奏上、霊璽への魂遷し、焼香、故人の思い出を語り合う など |
意味 | 故人の旅立ちを祝い、残された者が故人の冥福を祈る |
キリスト教における棺前
キリスト教における葬儀の前夜に行われる儀式は、プロテスタントとカトリックで名称が異なります。プロテスタントでは「棺前祈祷会」、カトリックでは「棺前祈祷式」と呼ばれ、どちらも故人の冥福を祈り、遺族を慰める大切な儀式です。
プロテスタントの棺前祈祷会は、故人の親族や友人が集い、牧師が聖書の言葉を引用しながら故人の生涯を振り返り、その人柄を偲びます。参列者は共に祈りを捧げ、賛美歌を歌い、故人を神に委ねます。
一方、カトリックの棺前祈祷式は、神父が中心となり、聖書朗読、祈り、賛美歌、そして遺族への慰めの言葉を述べます。これは、死者のためのミサにあたる「死者ミサ」の前夜にあたり、故人が安らかに天に召されるよう祈りを捧げます。
このように、プロテスタントとカトリックでは名称や儀式の形式こそ異なるものの、故人を偲び、遺族を慰め、神に祈りを捧げるという本質的な意味は共通しています。どちらも、死と向き合い、悲しみを分かち合い、新たな一歩を踏み出すための大切な時間を提供しています。
項目 | プロテスタント | カトリック |
---|---|---|
儀式名称 | 棺前祈祷会 | 棺前祈祷式 |
内容 | ・牧師が聖書を引用し故人を偲ぶ ・参列者で祈り、賛美歌を歌う |
・神父による聖書朗読、祈り、賛美歌、遺族への慰めの言葉 ・死者ミサの前夜 |
目的 | 故人を偲び、遺族を慰め、神に祈りを捧げる | 故人を偲び、遺族を慰め、神に祈りを捧げる |
棺前の重要性
人は誰しもいつかはこの世を去り、残された者たちは深い悲しみと共に故人との別れを受け入れなければなりません。その大切な別れの場となるのが葬儀であり、特に棺のすぐ側で行われる「棺前」は、故人との最後のひとときを共にすることができる、深い意味を持つ時間です。
古くから大切にされてきた棺前の儀式は、宗教や宗派を問わず、故人の冥福を祈ると共に、生前の感謝の気持ちを伝える場として執り行われてきました。それぞれの教えや作法に則りながら、焼香を捧げたり、手を合わせたりすることで、参列者は故人への想いを形にしていきます。
また、棺前は遺族にとっても、悲しみを分かち合い、支え合う大切な時間となります。参列者から直接、温かい言葉をかけてもらうことで、悲しみの中にも、故人が生きた証と、多くの人に愛されていたという事実を改めて実感し、心が慰められることでしょう。
このように、棺前は単なる儀式ではなく、故人を偲び、その生涯を称える場であると同時に、遺族にとっては深い悲しみを乗り越え、新たな一歩を踏み出すための大切な儀式と言えるでしょう。