お墓の向きと方角：吉相は本当にある？

お墓の向きと方角：吉相は本当にある？

お墓の向き

お墓を建てる際には、どこにしようか、どんな形の墓石にしようかと、様々なことを検討する必要があります。その中でも、意外と見落としがちなのが、お墓の向きです。しかし、古くからお墓の向きは、吉相に関わると考えられてきました。そのため、お墓を建てる際には、方角を気にする方が少なくありません。

吉相墓や相墓などと呼ばれるこれらの考え方では、適切な方角にお墓を建てることで、子孫繁栄や一族の繁栄などの幸運がもたらされるとされています。反対に、悪い方角にお墓を建ててしまうと、子孫に不幸が訪れると考える方もいるようです。

お墓の向きを決める際には、一般的に、その土地の地勢や、日当たりなどを考慮します。また、宗教や宗派によって、適切な方角や向きが異なる場合もあるため、注意が必要です。例えば、仏教では、西向きや南向きが好まれる傾向にあります。これは、仏教の教えで、西方浄土や南無阿弥陀仏といった言葉があるように、西や南が浄土とされているためです。

しかし、近年では、これらの考え方を気にせず、自分たちの好きな向きにお墓を建てる方も増えています。お墓は、故人を偲び、供養をするための大切な場所です。吉相も大切ですが、故人や遺族にとって、どのようなお墓であるのかを考えることが最も重要と言えるでしょう。

吉相の方角とは？

お墓を建てる際、方角を気にする方も多いのではないでしょうか。古くから、方角には吉凶があるとされ、お墓の方角も吉相を考慮するのが良いとされています。

しかし「吉相の方角」は、書籍や研究者によって意見が異なるため、一概に「この方角が良い」と断言することはできません。 例えば、南向きは日当たりが良く、縁起が良いと考える人もいれば、南は陽の気が強すぎるため、北向きの方が穏やかに眠れると考える人もいます。このように、同じ方角でも解釈が異なる場合があるのです。

そのため、吉相を重視して方角を決めたい場合は、一つの情報に頼るのではなく、複数の書籍やウェブサイトを参考にしたり、専門家の意見を聞くことが大切です。 また、方角だけでなく、周囲の環境や景観も考慮することで、より良い墓地選びができるでしょう。

東向きのお墓の理由

日本では古くからお墓は東向きに建てられることが多いです。その理由は諸説ありますが、大きく分けて二つ考えられます。

一つ目は、極楽浄土の思想と結びついたものです。仏教では、西方に極楽浄土があるとされ、亡くなった方は皆、西方浄土を目指すとされています。そのため、お墓を東向きにすると、お墓に眠る故人が西方浄土を向き、また、お参りする人が故人を背に西方浄土を向くことになるため、縁起が良いとされています。

二つ目は、太陽の動きに由来するものです。古代の人々にとって、太陽は生命の源であり、太陽の昇る東は神聖な方角として崇められてきました。そこから転じて、東向きにお墓を建てると、故人が太陽の恵みをたくさん受けて安らかに眠れると考えられるようになりました。

このように、東向きのお墓には、古くからの信仰や、自然への畏敬の念が込められています。最近では、必ずしも東向きでなければならないという決まりは薄れてきていますが、お墓の方位を選ぶ際には、このような先人の想いに触れてみるのも良いかもしれません。

日当たりと気持ち

お墓を選ぶ際、吉相や石材の劣化を防ぐために日当たりの良い場所を選ぶことは広く知られていますが、東南の方角を選ぶことにも特別な意味を持つことがあります。

東南は太陽の光が燦々と降り注ぐ方角です。お墓参りの際に、暖かく明るい日差しを浴びながら故人を偲ぶことは、悲しみを和らげ、穏やかな気持ちにさせてくれるでしょう。

また、日の光は生命力や活力の象徴でもあります。東南の方角に位置するお墓は、故人が安らかな眠りにつきながらも、永遠に力強く見守ってくれているような感覚を与えてくれるかもしれません。

もちろん、お墓の場所は様々な条件を考慮して決めるものです。しかし、東南の方角が持つ特別な意味を知っておくことで、お墓選びの際に新たな視点を持つことができるのではないでしょうか。

大切なのは気持ち

お墓を建てる際、その向きや方角について様々な意見があるかもしれません。風水に基づいた吉相を重視する考え方もあるでしょう。しかし、故人を偲び、心から供養したいと願う気持ちこそが何よりも大切なのです。

もちろん、縁起を担ぐことは決して悪いことではありません。しかし、吉相にとらわれ過ぎた結果、自分たちが心から納得できない場所にお墓を建ててしまっては、本末転倒と言えるでしょう。

大切なのは、故人への想いを第一に、自分たちが納得できる場所を選ぶことです。穏やかな陽光が降り注ぐ場所、静かで落ち着いた雰囲気の場所など、故人を近くに感じられるような場所であれば、きっと安らかな眠りにつけるはずです。

お墓は、故人と心を通わせるための大切な場所です。形式にとらわれず、故人への想いを込めて、自分たちにとって最良の場所を選んでいきましょう。