
お盆と送り火:ご先祖様を見送る炎の役割
日本では、毎年夏になるとご先祖様が帰ってくるとされ、共に過ごす大切な期間があります。それは「お盆」と呼ばれる行事で、ご先祖様との絆を再確認する、日本人にとって特別な時間となっています。お盆の期間中は、ご先祖様の霊を家に迎え入れる「迎え火」を皮切りに、仏壇にお供え物をしたり、お墓参りに行ったりと、様々な風習があります。そして、お盆の最終日には「送り火」を行い、再びあの世へと旅立つご先祖様を見送ります。送り火は、その名の通り、火を焚いてご先祖様の霊をあの世へと送り出す儀式です。夕暮れ時になると、家の門口や庭先などで、藁や麻がらなどを燃やして火を焚き、その火を頼りにご先祖様が迷わずにあの世へと帰れるようにと祈りを捧げます。送り火の火には、ご先祖様への感謝の気持ちと、来年もまた無事に帰ってきてほしいという願いが込められています。パチパチと燃える火を見つめながら、この一年間を振り返り、ご先祖様に見守られていたことを改めて実感する人も多いでしょう。お盆の締めくくりとなる送り火は、ご先祖様との別れを告げ、来年の再会を約束する大切な行事として、今もなお日本各地で受け継がれています。