ご本尊：故人をお守りし、寄り添う存在

ご本尊：故人をお守りし、寄り添う存在

ご本尊とは

– ご本尊とは

仏教において、私たちが信仰の対象とする最も大切な存在を「ご本尊」と呼びます。寺院の本堂の中心に安置されている仏像はもちろん、私たちの家にある仏壇に祀られている仏像や掛け軸などもご本尊にあたります。

ご本尊の姿は、如来様、菩薩様、観音様など様々です。これらの尊い仏様は、私たちを常に温かく見守り、正しい道へと導いてくださる存在として、仏像や絵画、掛け軸などに表現され、信仰の対象となっています。

私たちは、ご本尊に向かって手を合わせ、感謝の気持ちや願いを込めて祈りを捧げます。日々の暮らしの中で、悩みや苦しみを抱えた時、ご本尊に祈りを捧げることで、心が安らぎ、明日への希望を見出すことができるでしょう。また、ご先祖様を供養する際にも、ご本尊は重要な役割を果たします。ご本尊を通して、亡くなった方々と心を通わせ、その冥福を祈ることで、私たち自身の心も癒されていくのです。

寺院で見かけるご本尊

寺院の中心となる建物、本堂。厳かな空気が漂うその空間には、その寺院で最も大切にされている仏像であるご本尊が安置されています。ご本尊は、寺院の信仰の対象であり、人々の心の拠り所として古くから大切にされてきました。

例えば、多くの寺院が立ち並ぶ古都奈良。その中でもひときわ大きな東大寺のご本尊は、高さ約15メートルにもなる巨大な毘盧舎那仏です。その大きさと慈悲深いお顔は、多くの人々に「奈良の大仏様」として親しまれています。また、同じく奈良の興福寺では、釈迦如来をご本尊としてお祀りしています。

このように、寺院によってご本尊は異なり、そのお姿や教えは、寺院の顔とも言える存在となっています。普段は静かに佇むご本尊ですが、寺院によっては、一定期間だけ特別に公開する「御開帳」が行われることもあります。普段は目にすることのできない秘仏のご尊顔を拝もうと、多くの人が寺院を訪れます。

家庭におけるご本尊

多くの日本の家庭のリビングや和室には、ご先祖様を祀る仏壇が安置されています。仏壇は、あの世へと旅立たれたご先祖様と私たちをつなぐ大切な場所であり、その中心に位置するのがご本尊です。

ご本尊は、仏教における信仰の対象である仏様の像であり、浄土真宗であれば阿弥陀如来、禅宗であれば釈迦如来など、宗派によってそれぞれ異なります。ご本尊は、私たちを温かく見守り、心の拠り所となる存在です。

私たちは毎朝、仏壇にごはんやお水、お茶をお供えし、線香を焚いて手を合わせます。これは、ご先祖様への感謝の気持ちを表す大切な日課です。そして、ご本尊に向かって手を合わせる時、私たちはご先祖様や仏様とのつながりを再確認し、心穏やかに日々を過ごすことができるのです。

このように、家庭におけるご本尊は、単なる仏像ではなく、家族の心の支え、そして、目には見えないご先祖様との絆を象徴する大切な存在と言えるでしょう。

宗派によるご本尊の違い

– 宗派によるご本尊の違い

仏教の世界は広大で、多くの宗派が存在します。そして、それぞれの宗派が大切にしている教えや、信仰の対象となるご本尊は異なります。

例えば、「南無阿弥陀仏」の教えで知られる浄土宗では、阿弥陀如来をご本尊としています。阿弥陀如来は、限りない慈悲の心で人々を救済してくれる仏様として、広く信仰を集めています。

一方、真言宗では、大日如来をご本尊としています。大日如来は、宇宙の真理そのものを体現した仏様であり、その無限の智慧と慈悲によって、人々を悟りの世界へと導くとされています。

このように、仏教の宗派によって、信仰の対象となるご本尊は異なります。

もし、ご自身の家の宗派や、信仰しているご本尊についてわからない場合は、お近くのお寺に問い合わせてみることをお勧めします。

ご本尊について深く知ることは、仏教への理解を深め、自身の信仰をより確かなものにするために、大切な一歩となるでしょう。