葬儀と注連縄:その役割と意味
葬儀と墓石を知りたい
先生、「注連縄」や「七五三縄」って、お葬式でよく見かけるけど、どんな意味があるのですか?
葬儀と墓石の研究家
良い質問ですね。「注連縄」や「七五三縄」は、神聖な場所を区切るための縄のことです。お葬式では、故人が神様になるための儀式を行うので、その場所を清めるために張られます。
葬儀と墓石を知りたい
なるほど。場所を清めるためなんですね。でも、なぜ縄で区切るの?
葬儀と墓石の研究家
昔の人は、縄には悪いものから守ってくれる力があると信じていたからです。だから、縄で区切ることで、悪いものが神聖な場所に侵入するのを防ぐ意味があると考えられていました。
注連縄・七五三縄とは。
お葬式で使われる言葉に「注連縄・七五三縄」というものがあります。これは、神聖な場所にけがれたものが入り込むのを防ぐために張る縄のことを指します。神道の葬儀では、「忌竹(いみたけ)」と呼ばれる、葉のついた青竹を四方に立て、そこに注連縄を張ります。
神聖な空間を示す注連縄
神社や寺院を訪れた際、必ず目にすることになる注連縄。それは、神聖な場所や物示し、俗世間から区別するための結界として、古くから大切にされてきました。
注連縄は、一般的に稲わらで作られています。稲穂は、古来より日本人の生活を支える貴重な食糧であり、豊穣の象徴とされてきました。そのため、稲わらで作られた注連縄には、神聖な力や魂が宿ると信じられているのです。
その縄の形状にも意味が込められています。しめ縄は、一般的に左綯いに作られています。これは、神様の視点から見て右巻きとなり、神様が降りてくる際に邪魔にならないようにと考えられているからです。また、注連縄には、紙垂と呼ばれる、独特のギザギザとした紙が挟まれています。紙垂は、雷光や稲妻を表すとされ、神様の力を象徴しています。
注連縄は、神社の鳥居や御神木だけでなく、地鎮祭や結婚式など、様々な場面で見られます。それは、私たちの生活の様々な場面に、神聖な力が宿り、守られていることを示していると言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
役割 | 神聖な場所や物を示し、俗世間から区別するための結界 |
素材 | 稲わら(稲穂は豊穣の象徴であり、神聖な力や魂が宿ると信じられている) |
形状 | 左綯い(神様の視点から見て右巻きとなり、神様が降りてくる際に邪魔にならないように) |
紙垂 | 雷光や稲妻を表し、神様の力を象徴 |
使用場面 | 神社の鳥居、御神木、地鎮祭、結婚式など |
意味 | 私たちの生活の様々な場面に、神聖な力が宿り、守られていることを示す |
葬儀における注連縄:忌竹と七五三縄
日本では古くから、人が亡くなることは穢れと見なされ、葬儀は神聖な儀式として執り行われてきました。そして、神道の思想に基づく神葬祭においても、注連縄は重要な役割を担っています。
人が亡くなると、その家は神聖な場所として扱われ、注連縄で囲まれます。これは、外部と内部を隔てることで、故人の魂を外部の邪気から守ると同時に、故人の魂が成仏するまでの間、安らかに過ごせるようにとの願いが込められています。
葬儀で用いられる注連縄は、一般的なものとは異なり、「忌竹(いみたけ)」と呼ばれる、葉のついた青竹を四方に立て、そこに注連縄を張るのが特徴です。青竹には生命力や成長の象徴という意味合いがあり、故人の冥福を祈り、再生を願う気持ちを表しています。
また、注連縄にも種類があり、葬儀でよく用いられるのは「七五三縄」と呼ばれるものです。これは、しめ縄の垂らす長さや本数を奇数にすることで、神様が宿るとされる神聖な数を表現しています。七五三縄は、故人の魂を慰め、邪気を祓うという意味が込められており、神聖な空間を作り出す上で欠かせないものとなっています。
項目 | 説明 |
---|---|
葬儀と注連縄 | 日本では古来より、死は穢れとされ、葬儀は神聖な儀式として執り行われてきた。神道の思想に基づく神葬祭において、注連縄は重要な役割を担う。 |
家の周囲の注連縄 | 人が亡くなると、家は神聖な場所として扱われ、注連縄で囲まれる。これは、外部と内部を隔てることで、故人の魂を外部の邪気から守り、安らかに過ごせるようにとの願いが込められている。 |
忌竹と注連縄 | 葬儀で用いられる注連縄は、一般的なものとは異なり、「忌竹(いみたけ)」と呼ばれる、葉のついた青竹を四方に立て、そこに注連縄を張るのが特徴。青竹には生命力や成長の象徴という意味合いがあり、故人の冥福を祈り、再生を願う気持ちを表現している。 |
七五三縄 | 葬儀でよく用いられる注連縄の一つ。しめ縄の垂らす長さや本数を奇数にすることで、神様が宿るとされる神聖な数を表現している。故人の魂を慰め、邪気を祓うという意味が込められており、神聖な空間を作り出す上で欠かせないもの。 |
七五三縄の構造と意味
ご葬儀の場で目にする注連縄は、普段神社などで見かけるものとは異なり、「七五三縄」と呼ばれる特別な縄です。これは、稲わらを丁寧に束ねて作られており、独特の編み方である「左綯(ひだりなえ)」が施されています。左綯とは、縄を左上から右下へねじる方法で、神事と深く結びついています。
七五三縄は、その名の通り、7回、5回、3回と奇数を重ねて綯っていきます。これは、古代より日本では、奇数は縁起の良い数とされており、神聖なものとされてきたからです。そして、この七五三縄には、紙垂(しで)や麻といった飾り物が付けられることがあります。紙垂は、和紙を折ったもので、神様の降臨する場所を示すとされています。麻は、その丈夫さから邪気を祓う力があると信じられてきました。
このように、七五三縄は、単なる飾りではなく、神様の依り代となる神聖な意味を持つものです。ご葬儀においては、故人の魂を神聖な場所へと導き、安らかな旅立ちを祈る大切な役割を担っています。
項目 | 説明 |
---|---|
名称 | 七五三縄 |
素材 | 稲わら |
編み方 | 左綯(ひだりなえ):縄を左上から右下へねじる方法 |
意味 | 奇数を重ねることで、神聖さを表現 |
飾り物 | 紙垂(しで):神様の降臨する場所を示す 麻:邪気を祓う力があると信じられている |
役割 | 故人の魂を神聖な場所へと導き、安らかな旅立ちを祈る |
注連縄から読み解く、葬儀の精神性
– 注連縄から読み解く、葬儀の精神性
葬儀の際に目にする注連縄。
私たちはその存在を当然のように受け止めているかもしれません。しかし、深く考えてみると、そこには古来より日本人が大切にしてきた精神性が込められていることに気づかされます。
注連縄は、単なる装飾ではありません。
それは、神聖な場所と、そうでない場所を隔てる結界としての役割を担っています。
古来より日本では、死は穢れとされてきました。
死を扱う葬儀の場は、いわば、穢れが存在する場所とされてきたのです。その神聖な場所と、外部とを隔てるために、注連縄が張られてきました。
また、注連縄には、故人を偲び、その魂を敬うという日本人の心の表れでもあります。
注連縄を見ることで、参列者はその場が特別な空間であることを認識し、故人との最後の別れを惜しみ、冥福を祈ることができます。
このように、注連縄には、日本人の死生観、宗教観が色濃く反映されています。
注連縄は、単なる伝統的な装飾品ではなく、私たちに多くのことを語りかけてくれる存在といえるでしょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
注連縄の役割 | 神聖な場所とそうでない場所を隔てる結界 |
葬儀における意味 | 死を穢れとしてきた日本において、葬儀の場を外部と隔てる 故人を偲び、その魂を敬う心の表れ |
注連縄から読み取れるもの | 日本人の死生観、宗教観 |
現代における注連縄
古くから日本で親しまれてきた注連縄は、神社や寺院で見かけることも多く、私たちの生活に深く根ざした文化の一つと言えるでしょう。特に神聖な場所とそうでない場所を隔てる境界線としての役割を持ち、神聖な区域を示す際に用いられてきました。
近年では、宗教観の多様化に伴い、葬儀の形式も仏式や神式だけでなく、宗教にとらわれない自由な形式が増えてきました。しかし、そういった多様な葬儀においても、注連縄は日本の伝統的な文化として、その存在意義が見直されていると言えるでしょう。
注連縄には、故人の魂をその場に留め、邪気を祓うという意味が込められています。また、死を穢れと捉える考え方から、注連縄を張ることで、周囲の人々をその穢れから守るという意味合いも持ち合わせています。
現代においても、注連縄は単なる装飾品ではなく、深い意味を持つものとして、多くの人々に大切にされています。それは、注連縄が持つ意味や役割が、時代を超えて受け継がれてきた日本の伝統文化と深く結びついているからに他なりません。