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お墓参りの歴史:参り墓と両墓制

墓石

お墓参りの歴史:参り墓と両墓制

葬儀と墓石を知りたい

先生、「参り墓」って、ふつうのお墓とどう違うんですか?

葬儀と墓石の研究家

いい質問だね!実は昔は、お墓というと遺体を埋めた場所にそのまま土を盛っただけのものが多かったんだ。でも、遠くにあったり、管理が難しかったりで、なかなかお参りに行けなかったんだよ。

葬儀と墓石を知りたい

じゃあ、「参り墓」はお参りしやすいように作られたお墓ってことですか?

葬儀と墓石の研究家

その通り!お参りしやすい場所に、別に建てられたお墓のことなんだ。だから、昔は埋葬するお墓と、お参りするための「参り墓」の二つを持つ人が多かったんだよ。

墓石の参り墓とは。

お墓に関する言葉で「参り墓」というものがあります。これは、実際に遺体を埋葬したお墓とは別に、お参りしやすい場所に建てられたお墓のことを指します。浄土宗や浄土真宗が広まるにつれて、この参り墓が増えていきました。実際に遺体を埋葬するお墓と、お参りしやすい場所に建てたお墓の二つを持つことを「両墓制」と呼びます。今では、火葬をしてから遺骨を埋葬するのが一般的ですが、浄土宗などが広まり始めた頃は、火葬をせずにそのまま埋葬するのが普通でした。そのため、墓石や墓地の境界を示す石などはなく、土の上に墓石を置くだけの簡素なお墓が多く見られました。墓石の形も、今のように四角く整えられたものではなく、大きな石を置いただけのものがほとんどでした。また、お墓を建てる場所も、街から遠く離れた場所に設定されることが多く、気軽にお参りに行くのが難しい状況でした。「葬」という言葉には「置いておく」「捨てる」という意味も含まれているため、遺体を街から離れた場所に置いておくという意味合いが強かったと考えられます。

お墓参りの変化

お墓参りの変化

現代では、お墓参りとといえば、綺麗に整備された墓地に整然と墓石が並び、静寂な空間の中で故人を偲ぶ場所というイメージが強いです。しかし、少し過去に目を向けると、お墓参りの風景は大きく異なっていました。かつて日本では、火葬ではなく土葬が一般的でした。そのため、遺体を埋葬するための広い土地が必要となり、お墓は街の中心部ではなく、人里離れた場所に作られることがほとんどでした。交通手段が発達していなかった時代、お墓まで行く道のりは険しく、簡単にお参りできるものではありませんでした。人々は、年に数回のお盆やお彼岸の時期など、特別な機会に長い道のりを歩いてお墓を訪れていたのです。また、土葬の場合、遺体が腐敗したり、動物に荒らされることを防ぐため、大きな石や塚を築く必要がありました。そのため、現代のお墓のような立派な墓石は少なく、簡素な塚が多く見られました。このように、かつてのお墓参りは、現代のように気軽に行えるものではなく、故人を偲ぶと同時に、現世からあの世へと送り出す厳粛な儀式としての側面が強かったと言えるでしょう。時代と共に火葬が普及し、交通網が発達したことで、お墓参りの風景は大きく変化しました。お墓は街の近くに作られるようになり、いつでも気軽に故人と語らうことができるようになりました。しかし、どんなに時代が変わろうとも、お墓参りに込められた「故人を偲び、敬う」という気持ちは、これからも変わることはないでしょう。

項目 過去のお墓参り 現代のお墓参り
埋葬方法 土葬 火葬
墓地の場所 人里離れた場所 街の近く
墓石 簡素な塚 立派な墓石
参拝頻度 年に数回 いつでも気軽に
イメージ 厳粛な儀式 故人を偲ぶ場所

参り墓の登場

参り墓の登場

時代が変わりゆく中で、浄土宗や浄土真宗といった仏教の教えが広がりを見せ始めると、従来の墓のあり方に変化が訪れ、「参り墓」という新しい形式のお墓が登場しました。

従来のお墓は、遺体を埋葬した場所に墓石を建てるのが一般的でした。しかし、参り墓は、実際に遺体が眠る場所とは別の、人々が訪れやすい場所に墓石を建てるという画期的な発想から生まれました。

当時の日本では、土葬が主流であったため、遺体を埋葬した場所は、必ずしも人々が訪れやすい場所にあるとは限りませんでした。山奥や、川の近くなど、足場の悪い場所にお墓があることも珍しくありませんでした。

しかし、参り墓の登場により、人々はお墓参りのために遠くまで足を運ぶ必要がなくなり、故人を偲びたい時に、いつでも気軽に墓石を訪れることができるようになりました。このことは、人々にとって大きな心の支えとなり、故人との繋がりをより強く感じられるようになりました。

また、参り墓は、従来の墓石よりも、より洗練されたデザインや彫刻が施されるようになり、芸術的な価値も高まりました。寺院や霊園などに美しく整列して建てられた参り墓は、見る人の心を和ませ、安らぎを与えるとともに、故人の生きた証を後世に伝える大切な役割を担っています。

項目 従来の墓 参り墓
遺体の場所 墓石と同じ場所 墓石と異なる場所
参拝のしやすさ 場所によっては困難 いつでも気軽に参拝可能
デザイン・彫刻 簡素 洗練されたデザイン、芸術性が高い

両墓制の確立

両墓制の確立

– 両墓制の確立

人が亡くなった際、埋葬を行うための墓とは別に、遺族が故人を偲び、お参りするための墓を別に設けるという風習が広まりました。この「埋葬のための墓」と「お参りのための墓」、二つの墓を持つ習慣は「両墓制」と呼ばれ、全国各地で広く見られるようになりました。

特に、人口が集中し、土地が限られる都市部において、両墓制は効率的な墓地の利用方法として人々に受け入れられていきました。埋葬を行う墓は、郊外など比較的広い土地に確保し、お参りのための墓は、自宅から通いやすい寺院の墓地などに設けることで、限られた土地でも多くの人々が墓を持つことができるようになったのです。

この両墓制の普及は、時代の流れと共に変化する、人々の死生観や社会構造を反映していると言えるでしょう。

種類 説明 場所
埋葬のための墓 実際に遺体を埋葬する墓 郊外など比較的広い土地
お参りのための墓 遺族が故人を偲び、お参りするための墓 自宅から通いやすい寺院の墓地など

現代のお墓

現代のお墓

– 現代のお墓

近年では、火葬が主流となり、都市部にお墓を建てるケースが増加しています。
その影響もあり、従来の形式にとらわれず、埋め墓と参り墓の区別を明確にしないお墓も多くなってきています。

お墓は、故人の遺骨を納める場所であると同時に、遺族や親しい人々が故人を偲び、語りかける場でもあります。
かつては、広大な土地に立派な墓石を建てることが一般的でしたが、現代では、住宅事情やライフスタイルの変化に伴い、よりコンパクトでシンプルなデザインのお墓も人気を集めています。

また、従来の和型墓石だけでなく、洋型墓石やデザイン墓石など、多様な選択肢が登場していることも現代のお墓の特徴と言えるでしょう。

お墓参りの習慣は、時代が変わっても受け継がれています。
お墓参りを通して、故人を偲び、感謝の気持ちを伝えるとともに、自身のルーツや家族の絆を再確認する機会を得られるのではないでしょうか。

現代のお墓は、単なる埋葬の場ではなく、故人との繋がりを感じ、心の拠り所となる大切な場所としての役割を担っています。

項目 内容
現代のお墓の特徴 – 火葬の増加に伴い、都市部にお墓を建てるケースが増加
– 埋め墓と参り墓の区別を明確にしないお墓も増加
– コンパクトでシンプルなデザインのお墓が人気
– 和型墓石だけでなく、洋型墓石やデザイン墓石など多様な選択肢が登場
お墓の役割 – 故人の遺骨を納める場所
– 遺族や親しい人々が故人を偲び、語りかける場
– 故人との繋がりを感じ、心の拠り所となる場所
お墓参りの意義 – 故人を偲び、感謝の気持ちを伝える
– 自身のルーツや家族の絆を再確認する

まとめ

まとめ

古くから、人は亡くなった後もその魂は残り続けると信じ、死者との繋がりを大切にしてきました。そして、その繋がりを形にするように、時代とともにお墓の形式も変化してきました。
かつては、権力者などが巨大な古墳を築き、その力を誇示するように、お墓は故人の生前の姿を色濃く反映していました。しかし、時代が進むにつれ、お墓はより簡素化し、一般の人々にも広がっていきました。
そして現代、都市部における墓地不足や核家族化などの社会の変化に伴い、従来の形式にとらわれない新しいお墓が登場しています。室内に設置できる小さな納骨堂や、故人の思い出の場所に散骨する自然葬など、多様化する価値観を反映するように、お墓の形は変わり続けています。
また、お墓の形の変化だけでなく、お墓参りという文化も時代とともに変化してきました。かつては、先祖代々のお墓を守り、子孫が繁栄するようにと願いを込めて墓参りが行われていました。現代では、故人を偲び、生前の思い出を語り継ぐ場としてのお墓参りの意味合いが強くなっています。
このように、時代や社会の変化に合わせて、お墓の形式や墓参りの意味合いは変化してきました。しかし、故人との繋がりを大切にしたいという人々の気持ちは、時代を超えて受け継がれていると言えるでしょう。

時代 お墓の形式 特徴・背景
過去 巨大な古墳など – 権力者の権力誇示
– 故人の生前の姿を反映
現代 – 簡素なお墓
– 納骨堂
– 散骨(自然葬)
– 墓地不足、核家族化
– 多様化する価値観を反映
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