葬儀における北枕の伝統と意味
葬儀と墓石を知りたい
先生、「北枕」って、お葬式で亡くなった方の頭を北に向けるって言うけど、なんで北に向けるんですか?
葬儀と墓石の研究家
いい質問だね。北枕は、お釈迦様が亡くなった時、頭を北に向けて西を向いていたという言い伝えから来ているんだ。
葬儀と墓石を知りたい
へえー、お釈迦様と関係があったんですね! なんでお釈迦様はその向きだったんですか?
葬儀と墓石の研究家
それはね、諸説あってはっきりとはわからないんだ。でも、北極星を信仰の対象としていたとか、西を極楽浄土と見なしていたから、など色々な説があるんだよ。
北枕とは。
お葬式で「北枕」という言葉が使われますが、これは亡くなった方の頭を北に向けて寝かせることを指します。これは、お釈迦様が亡くなった時(これを「涅槃」といいます)に、頭を北に向けて西を向いていらっしゃったことに倣ったものとされています。
北枕とは
– 北枕とは日本では古くから、亡くなった方を安置する際、頭を北向きにする「北枕」の習慣があります。これは、仏教の開祖であるお釈迦様の最期に由来します。お釈迦様は、頭を北に、顔を西に向けて右脇を下にした姿、すなわち「頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)」で息を引き取られました。このことから、北枕には、お釈迦様が入滅された時と同じ向きで寝かせることで、故人がお釈迦様と同じように安らかに入滅できるよう願いが込められていると言われています。
また、北枕には、中国の風水思想も関係しているという説もあります。風水では、北は「陰」の気が強く、万物が休息する方角と考えられています。そして、死は生の対極にあるものと考えられており、故人を「陰」の気が強い北に寝かせることで、故人が安らかに眠れるようにという願いが込められていると言われています。
ただし、現代においては、住宅事情などから必ずしも北枕が守られるとは限りません。また、地域や宗派によっては、北枕を避ける場合もあるようです。重要なのは、故人の安らかな眠りを願う気持ちであり、形にとらわれすぎる必要はないと言えるでしょう。
習慣 | 由来 | 意味 |
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北枕 | ・お釈迦様の最期の姿 (頭北面西右脇臥) ・中国の風水思想(北は「陰」の気) |
・お釈迦様と同じように安らかに入滅できるようにという願い ・故人が安らかに眠れるようにという願い |
宗教的な意味合い
日本では古くから、亡くなった方を寝かせる際に頭を北に向ける、いわゆる『北枕』の習慣があります。これは、仏教の教えと深く結びついています。仏教では、北の方角に極楽浄土と呼ばれる仏様の住む世界が存在すると信じられてきました。そして、亡くなった方があの世で再び仏様と出会えるようにとの願いを込めて、頭を北に向けて寝かせるようになったのです。
また、北枕の習慣は、古代中国の思想の影響も受けていると言われています。古代中国において、北は宇宙の中心と考えられていました。北極星は夜空の中心に位置し、他の星々と異なりほとんど動くことなく輝き続けることから、人々から信仰の対象となっていました。このことから、北枕には、亡くなった方が北極星のように永遠に存在し続けるようにとの願いも込められているのです。
このように、北枕の習慣には、仏教的な意味合いだけでなく、古代中国の宇宙観に基づく意味合いも込められています。そして、これらの意味合いが日本人の死生観にも大きな影響を与えてきたと言えるでしょう。
要因 | 内容 |
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仏教 |
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古代中国の思想 |
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現代における北枕
– 現代における北枕かつては家の北側に頭を向けて寝る「北枕」は縁起が悪いとされ、特に病気の人や高齢の人は避けるべきだとされていました。これは、北枕が亡くなった方を安置する際の向きであることや、北極星信仰、太陽の運行など、様々な要因が考えられます。しかし、現代社会では住宅事情の変化に伴い、必ずしも北枕を避けることが難しいケースも増えています。マンションやアパートなどの集合住宅では、部屋の配置上、北側に頭を向けて寝る以外の選択肢がない場合もあるでしょう。それでもなお、葬儀の際には、故人の生前の希望や遺族の意向を尊重し、北枕で安置されることが少なくありません。これは、伝統的な風習を重んじる気持ちや、故人を丁重に弔いたいという遺族の思いからくるものです。また、病院で亡くなった場合など、諸事情により北枕で安置できないケースにおいても、できる限りの配慮がなされることがあります。例えば、枕の下に北を指す矢印を書いた紙を敷いたり、故人の顔を北に向けたりするなど、象徴的な意味合いを持たせることで、伝統的な作法に倣う姿勢を示すことがあります。このように、現代社会において北枕は、必ずしも避けるべきものではなく、むしろ故人を偲び、伝統を継承する上で重要な意味を持つ場合もあると言えるでしょう。
テーマ | 内容 |
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北枕の伝統的な意味合い | – 亡くなった方を安置する際の向き – 北極星信仰、太陽の運行など様々な要因が考えられる – 病気の人や高齢の人は避けるべきとされていた |
現代社会における北枕 | – 住宅事情の変化により、必ずしも北枕を避けられないケースが増加 – マンションやアパートなどの集合住宅では、部屋の配置上、北枕以外の選択肢がない場合もある |
葬儀における北枕 | – 故人の生前の希望や遺族の意向を尊重し、北枕で安置されることが多い – 伝統的な風習を重んじる気持ちや、故人を丁重に弔いたいという遺族の思いからくる |
北枕が難しいケースへの配慮 | – 病院で亡くなった場合など、諸事情により北枕で安置できないケースもある – 枕の下に北を指す矢印を書いた紙を敷いたり、故人の顔を北に向けたりするなど、象徴的な意味合いを持たせることで、伝統的な作法に倣う姿勢を示すことがある |
現代における北枕の意味 | – 必ずしも避けるべきものではなく、むしろ故人を偲び、伝統を継承する上で重要な意味を持つ場合もある |
まとめ
日本では古くから、亡くなった方を頭を北に向けて寝かせる「北枕」の習慣があります。これは単なる慣習ではなく、深い宗教的な意味合いを持つと同時に、故人への敬意や感謝の気持ちを表す大切な行為として、長い年月をかけて受け継がれてきました。
かつて日本では、仏教の影響を大きく受け、極楽浄土は西にあると信じられていました。そのため、亡くなった方を西に頭を向けて寝かせると、足を東に向けることになり、これは極楽浄土と逆の方向を向いているとされました。そこで、故人を極楽浄土に導く意味を込めて、北枕で安置するようになったと言われています。
時代が流れ、現代では宗教的な意味合いよりも、故人への想いを込めて北枕を選ぶ人が増えているようです。北枕は、亡くなった方が安らかに眠れるようにとの願いや、生前の姿を偲び、感謝の気持ちを込めて見送るための、大切な儀式として捉えられています。
時代の流れと共に、葬儀の形式や考え方は変化していく可能性があります。しかし、北枕の習慣に込められた、故人を敬い、大切に思う気持ちは、これからも変わらず受け継がれていくでしょう。
習慣 | 由来 | 意味 |
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北枕 | 仏教の影響 極楽浄土は西にあり、 故人を極楽浄土に導くため。 |
故人への敬意や感謝 安らかな眠りへの願い 生前の姿への偲び |