お墓を彩る蓮華の意匠:請け花
葬儀と墓石を知りたい
先生、「請け花」って仏壇にある蓮の花の飾りだけのことを言うんじゃないんですか?お墓にも使われているって本当ですか?
葬儀と墓石の研究家
いい質問だね!実は、「請け花」は蓮の花の形をした飾り全般を指す言葉なんだ。仏壇にあるものもそうだし、お墓で見かける石灯籠や塔の部分にも使われているんだよ。
葬儀と墓石を知りたい
えー!そうなんですか!でも、お墓で蓮の花の飾りを見た記憶がないような…
葬儀と墓石の研究家
最近は、お墓の形も変わってきているからね。昔ながらのお墓だと、塔の部分や、お墓の一番上の段に蓮の花の彫刻がされていることが多いよ。今度お墓参りに行ったときに、よく見てみてね!
請け花とは。
お葬式で使う言葉「請け花」は、石灯籠や多宝塔にある蓮の花の形をした土台や、花が彫られた飾りのことを指します。今の関東地方では、お墓に多宝塔を建てることは少なくなりましたが、蓮の花に関係する加工がされたお墓は、今も昔も変わらず多くの人に選ばれています。
お墓と蓮華の深い関係
古来より、亡くなった方を偲び、その魂の安らかなることを願う場所として、お墓には様々な意匠が凝らされてきました。深い祈りの心を込めて彫り込まれた文様の一つ一つには、故人を悼む気持ちと、冥福を祈る気持ちが込められています。
数ある文様の中でも、特に多く見られるのが蓮華の意匠です。蓮華は、泥の底のような苦しい世界にあっても、そこから抜け出し美しい花を咲かせることから、仏教においては「清浄」や「悟り」の象徴とされています。
お墓に蓮華が用いられるのは、故人の魂が蓮華の花のように、この世の苦しみから解放され、浄土で安らかに過ごせるようにとの願いが込められているからです。また、蓮華の持つ清浄なイメージは、故人を偲ぶ場所であるお墓を清浄な空間として保ちたいという願いも表しています。
蓮華は、その美しい姿と仏教における象徴的な意味合いから、お墓の意匠としてだけでなく、仏具や仏壇など、様々な場面で用いられています。私たちが手を合わせる時、その心は蓮華の清らかなイメージと重なり、故人への想いはより一層深まるのかもしれません。
意匠 | 意味 |
---|---|
蓮華 | 仏教において「清浄」や「悟り」の象徴であり、故人の魂がこの世の苦しみから解放され、浄土で安らかに過ごせるようにとの願いが込められている。また、お墓を清浄な空間として保ちたいという願いも表している。 |
請け花:蓮華の台座
お墓を訪れると、墓石や石灯籠など、様々な石造物に見事な彫刻が施されているのに気づかれるでしょう。その中でも、特に目を引くのが蓮華の意匠です。蓮華は仏教において重要な意味を持つ花として、古くから寺院の装飾や仏具などに用いられてきました。
お墓で見かける蓮華の意匠の中でも、「請け花」と呼ばれるものがあります。請け花とは、石灯籠や多宝塔といった石造物の基礎部分に施された、蓮華の形をした台座のことを指します。まるで蓮華の花びらを幾重にも重ねたような、優雅で美しい形状をしています。この請け花は、単なる装飾ではなく、お墓全体に荘厳な雰囲気を与える大切な役割を担っています。
特に、多宝塔は仏教において重要な意味を持つ建造物です。その多宝塔の台座に蓮華の意匠である請け花を設えることで、極楽浄土を表現し、より一層神聖な空間を創り出しているのです。
このように、請け花は、その美しい姿と深い意味合いから、古くから多くの人々に愛され続けてきました。そして、現代においても、お墓に安らぎと静寂をもたらす存在として、欠かせないものとなっています。
用語 | 説明 | 補足 |
---|---|---|
蓮華 | 仏教で重要な意味を持つ花 寺院の装飾や仏具に古くから使用 |
|
請け花 | 石灯籠や多宝塔などの石造物の基礎部分に施された、蓮華の形をした台座 | 蓮華の花びらを幾重にも重ねたような形状 お墓全体に荘厳な雰囲気を与える |
多宝塔 | 仏教において重要な意味を持つ建造物 | 台座に請け花を設けることで極楽浄土を表現 |
現代のお墓における請け花
– 現代のお墓における請け花
お墓参りの際に供える花は、故人を偲び、冥福を祈る気持ちを表す大切なものです。かつては、お墓に石でできた多宝塔を建立し、その上に蓮の花をかたどった装飾である「請け花」を施すことが一般的でした。蓮は泥水の中から美しい花を咲かせることから、仏教では「清浄」や「再生」の象徴とされ、古くから寺院の装飾や仏具などに用いられてきました。
しかし近年では、墓地の区画整理が進み、従来のような規模の大きなお墓を建てることが難しくなってきました。そのため、多宝塔を建てることは少なくなってきています。しかし、蓮華の意匠は、墓石本体や外柵などに形を変えながら、今もなお受け継がれています。
例えば、墓石の角に蓮華の花びらを彫刻したり、香炉の蓋に蓮華の模様をあしらったりするなど、その表現方法は多岐に渡ります。また、最近では、ガラスや陶器など、石材以外の素材で蓮の花をかたどった ornament(装飾品)を墓前に供えるケースも増えています。
このように、請け花は時代と共に変化しながらも、お墓にとって重要な意味を持つ意匠として、多くの人々に愛され続けているのです。
時代 | 請け花の形式 | 備考 |
---|---|---|
かつて | 石製の多宝塔に蓮の花をかたどった装飾 | 蓮は「清浄」「再生」の象徴 |
近年 | 墓石本体や外柵に蓮華の意匠 ガラスや陶器などの素材で蓮の花をかたどった装飾品 |
墓地の区画整理により、多宝塔を建てることが減少 |
請け花に込められた想い
お葬式や法要の場で目にする機会の多い「供花」。そこには、ただ空間を彩るためだけでなく、故人を偲び、冥福を祈る遺族の気持ちが込められています。
中でも、仏教と深い関わりを持つ蓮の花は、仏教の世界観と結びつき、「清浄」や「悟り」の象徴とされています。泥の中から美しい花を咲かせる姿は、現世の苦しみを乗り越え、魂が浄化され、安らかな世界へと旅立つことをイメージさせます。
また、蓮の花言葉である「清らかな心」や「慈悲」は、生前の故人の人柄を偲ばせるものでもあります。花を捧げることで、遺族は故人への感謝の気持ちを表し、その心を未来へと繋いでいくことができるのです。
このように、供花は単なる装飾ではなく、故人への想いを形にしたものと言えるでしょう。そして、その想いは時を超えて、大切な人の心に寄り添い続けることでしょう。
項目 | 説明 |
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供花の意味 |
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蓮の花の象徴 |
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蓮の花言葉 |
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まとめ
古くから日本人の生活には、常に死生観が根付いてきました。そして、故人を偲び、冥福を祈る場であるお墓には、様々な想いが込められています。その中でも、蓮華をかたどった美しい造形を持つ「請け花」は、単なる供物ではなく、日本の伝統的な意匠と仏教の教えが深く結びついたものです。
蓮は泥の中から芽を出し、美しく清らかな花を咲かせることから、仏教では「煩悩に満ちたこの世(泥)に生きながらも、悟りを開き、清浄な心(花)を咲かせる」ことの象徴とされています。
お墓に請け花を供えることは、故人への敬意と愛情を表すだけでなく、蓮の花のように、迷いのない穏やかな世界に旅立てるようにとの願いが込められています。また、その美しい姿は、訪れる人の心を和ませ、故人との思い出を語り継ぐきっかけにもなるでしょう。
時代が変わっても、形を変えながらも受け継がれてきた請け花。
お墓参りの際には、ぜひその繊細な美しさに触れ、込められた深い意味に思いを馳せてみてください。
項目 | 説明 |
---|---|
請け花 | 蓮華をかたどった美しい造形の供物。 日本の伝統的な意匠と仏教の教えが深く結びついている。 |
蓮の花の象徴 | 煩悩に満ちたこの世(泥)に生きながらも、悟りを開き、清浄な心(花)を咲かせること。 |
請け花に込められた願い | 故人への敬意と愛情、 蓮の花のように、迷いのない穏やかな世界に旅立てるようにとの願い。 |