葬儀で使う「ご霊前」の意味とは？

葬儀で使う「ご霊前」の意味とは？

葬儀と墓石を知りたい

先生、「御霊前」って葬式の時によく聞くけど、どういう意味ですか？

葬儀と墓石の研究家

よくぞ聞いてくれました。「御霊前」は、亡くなった方の魂に対して敬意を込めて使う言葉です。例えば、亡くなった方に報告することを「御霊前にご報告する」と言ったり、お供え物を「御霊前」と呼んだりします。

葬儀と墓石を知りたい

亡くなった方の魂に対して使う言葉なんですね。でも、いつまで「御霊前」って使うんですか？

葬儀と墓石の研究家

いい質問ですね。「御霊前」は、四十九日の法要まで使われます。四十九日を過ぎると「御仏前」と呼ぶようになりますよ。

御霊前とは。

「御霊前」という言葉は、お葬式で使われる言葉で、亡くなった方の魂を丁寧に呼ぶときの言い方です。例えば、「亡くなった方にご報告をする」という場合に、「御霊前にご報告をする」のように使います。
また、亡くなった方の魂にお供えをする品物や、お香典の袋に表書きとして書かれることもあります。
この「御霊前」という言葉は、亡くなってから四十九日まで使われます。四十九日を過ぎると「御仏前」という言葉を使うようになります。
「御霊前」は、亡くなった方の魂にお供え物を捧げるという意味なので、基本的にどの宗教の方にも使うことができる言葉です。

亡くなった方を敬う言葉

日々生活する中で、葬儀や法要など特別な場面で耳にする言葉は多く存在します。その中でも「ご霊前」は、頻繁に目にしたり、耳にしたりする言葉の一つと言えるでしょう。しかしながら、「ご霊前」の本当の意味を正しく理解し、適切に使うことができている人は、実際には多くないかもしれません。

「ご霊前」とは、亡くなった方の霊を指し示す言葉であり、その霊に対して敬意を表し、丁重な気持ちで接するという意味が込められています。単に「霊前」と呼ぶよりも、「ご」を付けることで、より一層の敬意を表現しているのです。

例えば、訃報を受け取った際などに、「ご逝去の報に接し、ご霊前に謹んでお悔やみ申し上げます」といった言い回しを用いることがあります。これは、ご霊前に向かって、故人の死を悼む気持ちと、遺族への哀悼の意を伝えていることを意味します。

このように、「ご霊前」は、目には見えない存在である故人の霊に対して、私たちが敬意と哀悼の念を示すための大切な言葉なのです。

お供え物にも使われる

「ご霊前」という言葉は、亡くなった方の霊前に捧げるお供え物を指す場合にも使われます。
ご遺族の方へお悔やみの気持ちを伝えるために、故人が生前好んでいたものや、冥福を祈る意味を込めて様々な品をお供えします。

特に、花、線香、果物、お菓子などは一般的です。

美しい花は、故人を偲び、心を慰める意味で添えられます。
線香の香りは、邪気を払い、故人の魂を安らかに導くとされています。
果物やお菓子は、あの世での故人の栄養となるようにとの願いが込められています。

これらの品々を「ご霊前にお供えください」と伝えることで、単なる贈り物ではなく、故人を偲び、敬意を表す気持ちが込められていることを示すことができます。
ご霊前に供える品々には、故人への想いと、ご遺族への温かい配慮が込められているのです。

供え物	意味
花	故人を偲び、心を慰める
線香	邪気を払い、故人の魂を安らかに導く
果物・お菓子	あの世での故人の栄養となるようにとの願い

香典袋の表書きにも

お通夜や葬儀に参列する際、私たちはその場にふさわしい服装や持ち物を選びます。特に、故人を偲び、遺族への弔意を表す大切な品の一つが香典です。香典は、故人の霊前に供えるお金のことで、白い香典袋に入れて持参します。

この香典袋にも、表書きとして「御霊前」と記します。「御霊前」は、香典が故人の霊前にお供えするものであることを示しています。これは、香典袋の中身が、単なる金銭ではなく、故人を偲び、冥福を祈る気持ちの表れであることを意味しています。

香典袋の表書きには、いくつかの決まり事があります。まず、墨の色は薄墨を用います。これは、急な訃報に接し、悲しみのうちに準備したことを表すためとされています。また、文字は楷書で丁寧に書くように心がけましょう。故人への敬意と、遺族への配慮を忘れずに、心を込めて表書きをしましょう。

項目	説明
香典とは	故人の霊前に供えるお金
香典袋の表書き	御霊前
表書きの意味	香典が故人の霊前にお供えするものであることを示す
墨の色	薄墨（急な訃報に接し、悲しみのうちに準備したことを表すため）
文字の種類	楷書

四十九日まで

– 四十九日まで人が亡くなってから四十九日後に行われる法要を四十九日法要といいます。この期間は、仏教において故人が次の生へと旅立つまでの重要な期間とされ、故人の霊がこの世にとどまり、成仏に向けて準備をしていると考えられています。

この時期は、まだ現世に未練を残している霊もいるとされ、遺族は故人を偲び、供養を続けることが大切とされています。

故人の霊に捧げる香典や供物には「ご霊前」を用います。「霊前」とは、故人の霊の前にいることを意味し、まだこの世に留まっている故人の霊に対して、敬意を込めて使われます。

四十九日を過ぎると、故人は迷いから解放され、仏になると考えられています。そのため、四十九日以降は「ご仏前」を用いるのが一般的です。

「仏前」は仏様の前にいることを表し、故人が極楽浄土へと旅立ち、仏様のもとに迎え入れられたことを示しています。

このように、「ご霊前」と「ご仏前」の使い分けには、故人の成仏に対する考え方が深く関わっています。それぞれの言葉が持つ意味合いを理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。

期間	状態	使う言葉	意味合い
亡くなってから四十九日まで	故人の霊がこの世に留まり、成仏に向けて準備をしている期間	ご霊前	まだこの世に留まっている故人の霊に対して、敬意を込めて使う
四十九日を過ぎてから	故人は迷いから解放され、仏になる	ご仏前	故人が極楽浄土へと旅立ち、仏様のもとに迎え入れられたことを示す

幅広い宗教に対応

– 幅広い宗教に対応する「ご霊前」の心近年、宗教の多様化に伴い、葬儀の形式も多様化しています。しかし、故人を偲び、そのご冥福を祈る気持ちは、宗教の垣根を越えて共通のものでしょう。「ご霊前」という言葉は、特定の宗教にとらわれることなく、亡くなった方の霊を敬う意味合いを持つため、仏教以外の宗教の場合でも使用することができます。例えば、キリスト教では、「ご冥福をお祈りいたします」や「安らかな眠りにつかれますように」といった言葉が用いられますが、これらの言葉と同様に、「ご霊前」という言葉も、故人を偲び、敬意を表す言葉として、広く受け入れられています。また、神道においても、「御霊（みたま）」という言葉があり、これは「ご霊前」と同様に、亡くなった方の霊を指す言葉として用いられます。「ご霊前」という言葉は、宗教的な意味合いを持ちつつも、特定の宗教にとらわれない、普遍的な表現です。そのため、宗教の壁を越えて、故人を悼む気持ちを伝えることができる、大切な言葉と言えるでしょう。故人を偲び、そのご冥福を祈る気持ちは、宗教や宗派の違いを超えて、私たち人間が共有する大切な心のあり方です。「ご霊前」という言葉は、そのような普遍的な想いを伝える、美しい日本語の一つと言えるのではないでしょうか。