安置：故人を偲ぶための大切な準備

安置：故人を偲ぶための大切な準備

安置とは

– 安置とは

人が亡くなると、葬儀までの間、故人を安らかな場所で休ませておく必要があります。これが「安置」です。この間、故人は白い布で包まれ、顔には白い布を掛けられます。これは、あの世とこの世を隔てる境目とされ、神聖な状態を示しています。

安置場所は、自宅や葬儀場などが一般的です。自宅に安置する場合は、故人が過ごした馴染み深い場所でゆっくりと最期の時を過ごせるという利点があります。一方、葬儀場では、専門のスタッフがおり、設備も整っているため、遺族の負担が軽減されます。

安置の期間は、一般的に葬儀までですが、葬儀の日程や場所、宗教や宗派、地域などの慣習によって異なります。例えば、仏教では、亡くなってから四十九日後に行われる「四十九日法要」までを「中陰」と呼び、故人の魂がこの世とあの世をさまよう期間と考えられています。そのため、四十九日法要を終えてから納骨を行うことが多く、その間、遺骨を自宅に安置する場合もあります。

安置は、単に遺体を保管する行為ではありません。遺族にとっては、故人の魂を鎮め、冥福を祈るとともに、生前の思い出を振り返り、別れを惜しむための大切な時間となります。

安置場所の選び方

– 安置場所の選び方

故人を偲び、お別れの時を過ごす大切な場所である安置場所。ご遺族にとって、納得のいく場所を選びたいものです。

一般的には、ご自宅にある仏間や座敷など、静かで落ち着いた場所が選ばれます。太陽の光が直接差し込まない、風通しの良い部屋が良いでしょう。また、故人が生前、長い時間を過ごしていた部屋や、思い出深い場所をご遺族が選ばれるケースもあります。

近年では、葬儀場に併設された安置室を利用するケースも増加しています。自宅に適切な場所がない場合や、マンションなどの集合住宅にお住まいで、スペースの確保が難しい場合に選ばれています。葬儀場によっては、24時間いつでも故人に面会できる体制を整えている場合もあり、安心して故人を預けることができます。

安置場所を選ぶ際には、ご遺族の希望や住宅事情、そして葬儀の形式などを考慮することが大切です。葬儀社に相談し、それぞれの状況に最適な場所を選びましょう。

安置期間

– 安置期間

人が亡くなってから火葬を行うまでの間、故人を安置する期間のことを安置期間と言います。

安置期間は、火葬場や葬儀場の予約状況、宗教的な慣習、ご遺族の意向などを考慮して決定されます。そのため、地域や状況によって期間は異なり、一概に何日間と決まっているわけではありません。

一般的には２～３日程度で火葬が行われることが多いですが、火葬場の混雑状況や、遠方から参列者が来る場合などは、１週間以上安置期間を設けることもあります。

この間、故人は自宅や葬儀場の安置室などに安置され、ご遺族や親しい方々が集まり、故人を偲びながら最後の時間を過ごします。

近年では、葬儀まで自宅に安置せず、葬儀場と提携した安置施設を利用するケースも増えています。

安置期間中は、故人の体を清潔に保つために、ドライアイスやエンバーミングなどの処置が行われます。

また、安置期間中は、通夜や葬儀の準備など、ご遺族は何かと忙しい日々を送ることになります。

そのため、安置期間や葬儀の日程などは、ご遺族だけで抱え込まず、葬儀社や周りの人に相談しながら、無理のないように進めていくことが大切です。

安置の準備

– 安置の準備

人が亡くなると、葬儀までの間、故人を自宅や安置施設などに安置します。この安置の際には、いくつかの準備が必要です。

まず、故人を安置布団の上に寝かせます。これは、まるで故人が眠っているかのように、布団に寝かせてあげることです。そして、顔には白い布をかけます。これは、故人の安らかな眠りを妨げないようにという意味が込められています。

枕元には、故人の愛用品や生花を供えます。愛用品は、故人が生前愛用していたもの、例えば、趣味のものや大切に持っていたものなどです。花は、故人を偲び、その死を悼む気持ちを表すために供えられます。

また、線香とろうそくを灯します。線香の香りは、故人が迷うことなくあの世に行けるようにという願いが、ろうそくの火には、あの世を明るく照らすという意味が込められています。

これらの準備や飾り付けは、宗教や宗派によって異なる場合があります。例えば、仏教では、枕飾りに故人の好物を供えたり、仏壇に香華を供えたりします。神道では、故人の枕元に守り刀を置いたり、祭壇に御神酒や米、塩などを供えたりします。そのため、事前に葬儀社や宗教者によく確認しておくことが大切です。

安置中の注意

– 安置中の注意

故人との最後のお別れの時、安置の間は故人と寄り添い、静かに見守る時間を大切にしましょう。

そのため、お別れにいらした方々とお話になる場合でも、大声で話したり騒いだりすることは控えるのが望ましいです。

また、安置場所の環境にも気を配りましょう。急激な温度変化は、故人の体に影響を与える可能性があります。室温は適切に保ち、特に夏場は湿度が高くなるため、腐敗を防ぐ対策が必要です。ドライアイスを使用する場合は、葬儀社に相談し、適切な方法で行いましょう。

安置の間は、故人を偲び、生前の思い出を語り合いながら、心穏やかに過ごすように心がけましょう。