故人へ寄り添う、納骨の袈裟
葬儀と墓石を知りたい
先生、「納骨の袈裟」ってどういう意味ですか? 普段お坊さんが着ている服のことですよね?
葬儀と墓石の研究家
そうだね。お坊さんの服を袈裟って言うよね。でも、普段着ている袈裟と「納骨の袈裟」は違う意味なんだよ。
葬儀と墓石を知りたい
え? 違うんですか? どう違うんですか?
葬儀と墓石の研究家
「納骨の袈裟」は、亡くなった人があの世で困らないように、という意味が込められていて、特に納骨の際に棺に入れる六文銭の一つとして扱われるんだよ。
納骨の袈裟とは。
お葬式の時に耳にする「納骨の袈裟」という言葉は、お坊さんが着ている服のことを指します。この服は「三衣」とも呼ばれ、仏教が始まったインドから伝わったものとされています。
納骨の袈裟とは
– 納骨の袈裟とは
納骨の際に故人に着せる袈裟は、故人が仏の弟子となり、迷いのない安らかな世界へと旅立つことを願い、その道行きを助けるという意味が込められています。
仏教では、人が亡くなることを「入寂(にゅうじゃく)」と言い、これは永遠に消滅してしまうという意味ではありません。この世に生を受けた時から持ち続けている、煩悩や苦しみから解放され、仏の教えの世界へ還っていくことを意味します。
そして、死後に遺体が朽ち果て、土に還ることも、煩悩に満ちた現世での姿から解き放たれ、仏の教えへと回帰することを象徴しています。
納骨の際に袈裟を身に纏うことは、故人が仏弟子となり、迷いのない安らかな世界へと旅立てるようにとの願いが込められた、大切な儀式と言えるでしょう。
項目 | 意味 |
---|---|
納骨の袈裟 | 故人が仏の弟子となり、迷いのない安らかな世界へと旅立つことを願い、その道行きを助ける |
入寂(にゅうじゃく) | 人が亡くなることを指し、永遠に消滅するという意味ではなく、煩悩や苦しみから解放され、仏の教えの世界へ還っていくことを意味する |
遺体が朽ち果て、土に還ること | 煩悩に満ちた現世での姿から解き放たれ、仏の教えへと回帰することを象徴する |
袈裟の由来
お釈迦様の教えが広がる仏教の世界では、修行僧が身にまとう衣服を袈裟と呼びます。この袈裟という言葉は、古代インドで使われていたサンスクリット語の「カシャヤ」に由来します。「カシャヤ」は、赤褐色の布を指す言葉でした。
仏教が生まれた当時のインドでは、修行僧は厳しい修行に励んでいました。その生活は質素倹約を旨としており、衣服も例外ではありませんでした。不要になった布を縫い合わせて作った衣を身にまとい、厳しい修行に耐えていたのです。
この質素な衣は、やがて仏教の教えそのものを象徴するものとして、「袈裟」と呼ばれるようになりました。仏教が世界各地に広まる中で、袈裟もまた仏教徒にとって大切な意味を持つようになり、現代まで受け継がれています。
項目 | 説明 |
---|---|
袈裟の語源 | サンスクリット語の「カシャヤ」 意味は「赤褐色の布」 |
袈裟の由来 | 古代インドの修行僧が、不要になった布を縫い合わせて作った衣 |
袈裟の象徴 | 仏教の教えそのもの |
三衣の種類
お釈迦様の教えである仏教では、修行者の服装にも厳しい戒律が設けられています。その象徴とも言えるのが袈裟です。袈裟とは、一枚の布ではなく、大小様々な布を縫い合わせて作られます。そして、仏教の教えや戒律の厳格さによって、着用が許される枚数が異なり、それぞれに深い意味が込められています。
在家信者が身にまとうことができるのは五条袈裟です。これは、五つの戒律を守る者という意味が込められています。一方、修行を積み、十の戒律を守る沙弥と呼ばれる僧侶には、七条袈裟が許されます。さらに、二百五十の戒律を守る比丘には九条袈裟が、そして、正式な僧侶である比丘尼には、なんと二十七条もの袈裟が許されます。
このように、袈裟の枚数は、修行者の位を表すだけでなく、その精神性の高さを示すものでもあります。そして、私たちに仏教の教えの深さと、修行の厳しさを静かに語りかけているのです。
修行者の位 | 袈裟の枚数 | 意味 |
---|---|---|
在家信者 | 五条 | 五つの戒律を守る者 |
沙弥(僧侶) | 七条 | 十の戒律を守る者 |
比丘 | 九条 | 二百五十の戒律を守る者 |
比丘尼 | 二十七条 | 正式な僧侶 |
納骨の際に用いる袈裟
– 納骨の際に用いる袈裟
故人があの世へと旅立つ、厳粛な納骨の儀式。
その際には、故人に寄り添うように袈裟が納められます。
納骨の際に用いる袈裟は、故人が生前に信仰を寄せていた宗派や、遺族の希望によって様々です。
一般的には、清浄を表す白木綿の五条袈裟や、極楽浄土に咲く花として知られる蓮の花の刺繍が施された七条袈裟などが用いられます。
故人が僧侶であった場合には、生前に修行に励んでいた際に身につけていた袈裟を納めることもあります。
それは、故人の仏道への深い帰依を表すと共に、残された人々への温かい励ましとなることでしょう。
袈裟は、単なる布ではなく、故人の魂を包み込む大切な役割を担っています。
納骨の際には、故人の信仰や生き様を偲び、ふさわしい袈裟を選んであげたいものです。
納骨時の袈裟 | 説明 |
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白木綿の五条袈裟 | 清浄を表す、一般的に用いられる袈裟 |
蓮の花の刺繍が施された七条袈裟 | 極楽浄土に咲く花として知られる蓮の花の刺繍、一般的に用いられる袈裟 |
故人が生前に修行に励んでいた際に身につけていた袈裟 | 故人が僧侶であった場合に用いられることがある袈裟 |
袈裟に込められた想い
– 袈裟に込められた想い
古来より日本では、人がその生涯を終えると、仏弟子としての姿を表すために、故人に袈裟を身につけさせて見送る習わしがあります。これは、生前の罪や穢れを洗い清め、仏の教えである極楽浄土へと導くための大切な儀式として、現代まで大切に受け継がれてきました。
納棺の際に棺に納められる袈裟は、単なる布切れではなく、深い意味を持つ仏具です。その色は、仏教における悟りの境地や、故人の願いを表しています。例えば、蓮の花の開花を思わせる淡い桃色は、仏様の智慧や慈悲を象徴し、浄土への生まれ変わりを願う心を表しています。また、藍染めの藍色は、煩悩を滅却し、心を穏やかに保つ効果があるとされ、安らかな旅立ちを祈る気持ちを表しています。
袈裟の素材や縫い方にも、それぞれに意味が込められています。例えば、木綿の袈裟は、その質素さから、生前の行いを反省し、慎ましく生きることを表しています。一方、絹の袈裟は、その光沢が仏様の功徳を表し、故人が生前に積んだ善行を称える意味合いを持っています。
このように、袈裟には、故人の成仏を願う気持ち、そして、残された遺族の深い愛情が込められています。現代社会においても、袈裟は単なる宗教的な儀式を超え、故人との繋がりを再確認し、心の平安を得るための大切な拠りどころとして、その役割を果たしていると言えるでしょう。
袈裟の色 | 意味 |
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淡い桃色 | 仏様の智慧や慈悲を象徴し、浄土への生まれ変わりを願う心を表す。 |
藍色 | 煩悩を滅却し、心を穏やかに保つ効果があるとされ、安らかな旅立ちを祈る気持ちを表す。 |
袈裟の素材 | 意味 |
---|---|
木綿 | 生前の行いを反省し、慎ましく生きることを表す。 |
絹 | 仏様の功徳を表し、故人が生前に積んだ善行を称える意味合いを持つ。 |